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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 始まり 二話

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智之が美那子に言った言葉は美那子の女を刺激した。
女の子から女性になって一年ほどが経過して、学校でも恋愛について女子同士で話し合うようになっていた。
早い子は彼がいて、キスをした話を聞くとキャアキャア大騒ぎした。

智之が帰って10分ほどして兄の秀一郎が戻ってきた。
居間で座ってお帰りも言わない妹に声をかけた。

「どうしたんだ、黙って」

「アッ!お帰り」

「智之に何か言われたのか?お前に用事があるとか言って戻っていったから」

「ううん、別に」

「何も言わなかったのか?」

美那子は本当のことを兄には言うことが出来なかった。
智之が友達でいいから仲良くして欲しいと言った言葉を。

自分にはいつも優しい兄の存在を嬉しく感じていた美那子には智之からの告白は複雑な気持ちに感じられた。
兄に嫌われるんじゃないだろうか、智之と付き合うことに反対するんじゃないか、高校生の男子と付き合うという事が何を意味するのか解らないでもなかった。

身体の変化が心の変化に微妙に影響を与えている今の自分には、恋愛への関心と両親や特に兄との関係を壊すんじゃないかという悩みが天秤にかけられているような状態だった。

コンビニで買ってきた弁当を兄と二人で食べて、シャワーも浴びていたので自分の部屋に入ってそのまま寝ることにした。
両親はその日、日付が変わるぎりぎりぐらいの時間に帰ってきた。
兄もバイト終わりで疲れていたのかすでに自分の部屋で寝ていた。

智之と友達になったらどうなるのかという事を美那子はずっと考えていた。
特に好みのタイプではなかったが、変なことをしなければ友達ぐらいなら会ってもいいという気持ちに変わってきた。
夏休みが終わる頃、美那子は両親にも兄にも言わずに智之と会うことを約束した。

「美那子ちゃん、秀一郎は今日の事知っているのか?」

「ううん、言ってない」

「そうか。じゃあ、自分で決めたんだな、おれと付き合うっていう事?」

「友達でしょ?」

「ああ、男と女の友達だ」

「どういう意味?」

「おれは初めて会った時から美那子ちゃんのことが好きだから、おれの事も好きになって欲しい」

「好きに?友達じゃいやなの?」

「全部好きになりたいからな」

「全部?」

美那子には智之が何を言おうとしているのかうすうす感づいた。
13歳の自分にそういう事が出来るのだろうか、兄や両親に言えないような付き合いをすることはまだ早いと思っている。

しかし、性的な部分で興味があることは否定しない。
兄の秀一郎に対して男の部分を感じていたからだ。
この日は話すだけで智之と別れた。
バス停を降りて家に向かう途中でクラスメートの静子と出会った。

静子は彼がいる。学校でそういう話をする仲でもあった。