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②冷酷な夕焼けに溶かされて

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「ミシェル様にとって、ルイーズは手元に置きたいくらい、名を与えたいくらい、大事な存在だと思います。そのルイーズを処刑してしまうと、ミシェル様の心を傷つけることになります!なのに、なぜこうなってしまったのか…」

そこまで言うと、パッと顔を上げてミシェル様を見上げた。

「もしかして、私のせいですか?」

その瞬間、ミシェル様の瞳が驚きに見開かれ、顔から血の気がひく。

「やはりそうなのですね!?」

私は膝立ちすると、胸の前で祈るように手を組んだ。

「何が、ミシェル様を苦しませているのですか?ミシェル様が苦しまれるくらいなら、私に苦難を押し付けてくださいませ!」

そこまで言った瞬間、ミシェル様に力強く抱きしめられる。

その腕は、可愛らしい顔立ちからは想像できないほど逞しく、力強いのに…ふるえていた。

「なぜ…なぜ、おまえはそうなんだ…。」

低い艶やかな声も、ふるえている。

「どれだけ傷つけても、なぜそう純粋なんだ…。」

私をすっぽりと包み込むくらい大きな体なのに、まるで子どものように小さく感じ、私はその背をぎゅっと抱きしめた。

「…覇王様が、私の献上を求めていらっしゃることが関係しているのではありませんか?」

なだめるようにふるえる背を撫でると、ミシェル様の体がビクッと大きくふるえる。

「話してください。私にできることなら、なんでもしますので。」

私の言葉に、ミシェル様のふるえが止まった。

暫く考え込むように、私の首筋に顔を埋めていたけれど、ふと顔を上げる。

「思い上がるな。」

その瞳は恐ろしく冷徹で、思わず背筋がぞくりとふるえた。

「おまえにできることなど」

ミシェル様は私から体を離すと、その口元を歪める。

「私の傍にいること以外、何もない。」

そう言い捨てると、ペーシュを抱いてリビングを出て行った。

そして翌日。

広場には、大勢の騎士が集まっている。

その中央の処刑台には、後ろ手に縛られたルイーズが、立っていた。

(つづく)