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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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夕日を見ている美穂と言う女

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時間調整で立ち寄ったパチンコ店。店内は涼しく快適だった。高木守は自動販売機からコーヒーを買った。それを飲みながら店内のスロットコーナーを見まわした。4列ある機械の電飾がキラキラと薄暗いコーナーに点滅している。平日の午後3時だからなのか、1列に12台ほどある機械に座っている客は3人ほどであった。その機械は人気のあるジャグラーであった。パチンコやスロットは、ギャンブル依存症問題で、テレビや新聞にそのことが指摘された。それから規制がかけられ、大きく勝つことはできなくなった。高木がのめりこんでいた時は、5時間ほどで、10万円ほど儲けた時もあった。規制が厳しくなると、使う金はさほど変わらないのに、高木自身の儲けの最高は5万円ほどであった。そんなことで、ばからしくなり止めていた。
 2時間ほど時間があり、ジャグラーの機械に座った。1000円札を入れると、メタルが50枚ほど出た。3枚を機会に入れ、レバーを叩くと、ドラムが回転した。久しぶりの体験に懐かしさと興奮を覚えた。3千円使うのは、5分足らずであった。まだ時間がある。高木は1万円札を両替した。どうしても、777を揃えてみたくなっていた。再び、その機械でゲームを始めたが、お化けさえも出ない。
「おじさんその台は昨日バカ当たりしたから、今日は出ないと思うよ」
 と40歳くらいの女性が言葉をかけてくれた。高木から1台空いた席の人だった。
 常連客は情報を持っているから勝てる可能性が高い。
「ありがとう。よさそうな台がありますか?」
「打ってみないと分からないけれど、ここはいいかも」
 女性の隣であった。
 高木は言われた席に移った。3枚のメタルを入れレバーを叩くと、ピッカと光った。
1回点目である。大当たりか小当たりのお化けかは分からないが、とにかく気分が良かった。パチンコ店でのマナーのようなもので、高木はコーヒーとコーラを買ってきた。
「どちらがいいでしょう。良かったら2本いかがですか」
「コーヒー頂くわ。さっきおじさん飲んでいたから・・」
 高木はコーラーのプルタブを引いた。急いで来たからか、あぶくが噴出した。
「使いなさいよ」
 高木がハンカチをポケットから出すより先に、おしぼりを差し出してくれた。
 紺色のズボンであるから汚れは目立たなかった。
「ありがとう」
 高木は気の利く女性だと思った。
 レバーを叩き、7を狙ってストップボタンを押すと、77と来た。最後に7が来れば大当たりである。狙ってこなければお化けなのだ。最後のボタンを興奮気味に押したが、7は滑ってしまった。
 お化けの後に直ぐに777が来た。1時間ほどするとプラスチックの箱が満杯になった。
 高木は両替すると、1万7千ほどになり、7千円は女性に渡そうと思った。
「教えてくれたお礼です」
「コーヒーくらいなら頂くけれど、お金はいいわよ。勝つときばかりじゃないもの」
「僕はここのモノではないですから、あなたにお会いすることもないですから、受け取ってください」
「そんなこと言われても困ります」
 高木は彼女の手に金を渡して、立ち去った