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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第三十五話

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内藤は悪魔に魂を売るようなものだと受け付けなかったが、研究を続けるには資金援助が無ければ前に進まないことを理解していたので、日本からの援助が得られないなら国外へ自分の研究が出てしまっても致し方ないとあきらめざるを得なかった。
そんな時に銀座のクラブ魔王へ連れて行かれ、ナンバーワンの梓と知り合った。
エイブラハムが何を考え、何を思い内藤と梓を引き合わせたのかを語ることは無かった。


ホテルでの食事を終え、約束の時間が来てエイブラハムは大使館へ戻らなくてはならなかった。

「それではわたくしは明日本国へ一時帰国します。内藤さんも梓さんもくれぐれも気を付けてお過ごしください。ニューイスラエル国は永遠にあなたたちを保護しますので、危険を感じられた場合は大使館へ逃げ込んでください。私が留守でもご心配はいりません。これだけは言わせて頂いてお別れしたいと思いました」

「エイブラハムさん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。お言葉は嬉しく思いますが、これ以上のお世話を掛けるようなことは出来ません。お言葉だけありがたく頂戴させて頂きます。本国へ着かれましたら国王にもよろしくとお伝えください」

梓は丁寧に別れの言葉を選んで話した。内藤も頷くように深く頭を下げた。
エイブラハムが出て行ったホテルの周りには数人のジャーナリストなのかテレビ局なのかわからないが男性がうろついていた。
このまま外に出るのは危険だと感じた内藤は訳を話し、予約しないと宿泊できない規則を知りながら宿泊を申し出た。

ホテル側も内藤夫婦は時の人であることを承知していたので、快く了解した。
梓とは落ち着いて話をしたり寛いだことが無かったので、ちょうど良い機会だとも思えた。
二人はこれからのことを話し合った。
内藤はまだ父親の行方を捜せていない。これからどうするのだろうと梓は尋ねた。

「ねえ、お父様のことはどこから情報が得られるのかしら。政府が調べてくれるとは思えないんだけど、困ったわね」

「ああ、そうだな。生きて暮らしているとは思えないから、どこに眠っているかぐらいは探し出さないとな。国会中継を見ていた人から何か情報が聞けるかもしれないから、今夜でもツイッターとフェイスブックで消息を呟いてみるよ」

「その手があったわね。どんな情報でも今は欲しいわね」

内藤は直ぐに発信した。そして情報が寄せられてきた。