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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第三十四話

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翌日新聞のトップは一斉に内藤の発言を取り上げていた。
テレビもモーニングニュースから夜の報道番組まで墜落事故の真相究明一色となっていた。
直ちにアメリカ大使館からクレームがつき、政府与党は対応に追われた。
ホットラインを通じてアメリカ大統領からも遺憾の意が伝えられた。
逆にニューヨークタイムズやワシントンポストは大々的に在日米軍の民間機撃墜と大きく報道し、反マスコミよりになっている現政権から自分たちに都合の良い政権へ支持が移るように世論を動かそうと画策し始めた。

日米で倒閣の動きが激しくなる一方で、国替えをしているとはいえ当事国のニューイスラエルは困惑をきたしていた。
エイブラハムは直接の被害者ではないにしろマスコミに追いかけられるようになってしまった。

大阪で内藤の研究を支援し、梓を匿っていた状況を知るマスコミ関係者から鋭い質問を浴びせられることもあり、早々に東京から帰国することを決めていた。
出立前夜に内藤夫婦と食事をしながら今の気持ちを話したいと思っていた。
帝国ホテルのロビーで顔を合わせた。

「内藤さん、大変な騒ぎになっていますね。枇々木さんの思いについては確信があって国会で話されたのですか?」

「確信ですか?そうですね。日本に着いた日に遺族会の平山さんから連絡があって、核兵器を収納していたと思われる施設を、正しくは施設跡ですが見つけることが出来たんです。そのことで裏を取るためにアメリカ軍やアメリカ大使館へある筋からコネを回して探りを入れてもらいました。
そして国会答弁の前日に平山さんから、イスラエル大使館でごたごたがあった情報を聞かされました」

「その情報はまさか魔王からだったのですか?」

「はい、そうです」

「う~ん、真実だったのか・・・」

「私は国会で嘘なんか言いませんよ。議員たちとは違いますからね。エイブラハムさんはご存じないと思いますが、85年当時のイスラエル大使が本国へ召還され、解任されたそうです。理由は何らかの責任を取らされたという事なのですが、そのタイミングと墜落事故が関係しているのではないかと平山さんは魔王で聞いたそうです。
徹底して隠蔽されましたが、核兵器がイスラエルにもたらされたことは、とある周辺国へ伝わってしまいました。その結果が将来どうなったのかはお判りでしょう」

エイブラハムは祖国が犯した過ちで自分たちが今の立場になっていることに思いを巡らせていた。