「熟女アンドロイドの恋」 第三十四話
大河内議員が内藤の答弁に対して口を挟む。
「では、内藤さん、われわれが今考えている以上に当時としてはイスラエルへ核兵器を渡すという事はアメリカとしては大変な掟破りだと言われるのですね?」
「はい、民間機を撃墜してでも枇々木さんをイスラエル大使館へ行かせてはならないという事だったのです」
「枇々木さんは大使館よりマスメディアへリークすれば良かったのではないですか?」
「これほどの事案を報じるとすれば、当時では日本とアメリカとの関係がどうなったか想像がつきます。それはさすがに新聞各社もテレビ各社も中小の雑誌でも出来なかったと思います。枇々木さんは自分の耳でイスラエル大使館から真意を聞き出し、中止するように言いたかったのだと思います」
「なるほど、暴いて自分の人気やお金のためにするという事ではなかったと仰りたいのですね?」
「先生、これからはわたくしの想像ですが、この米軍の核弾頭引き渡しのシナリオはどこかに漏れていたと思われるんです。ひょっとしてそのことを枇々木さんは言いたかったのだとすれば、アメリカは間違った判断をしたという事になります」
「ええ?アメリカ軍の裏切り行為を暴くのではなく、情報が漏洩しているという事を伝えたかったと言われるのですか?」
「はい、そういう事です」
再び場内がざわめき立った。
「内藤さん、その根拠は何ですか?」
「枇々木さんはどうして神戸の大使館へ行こうとしたのか?という事がボクには謎だったんです。大使館なら東京で十分でしょう」
「神戸か関西がご自宅か奥様のご実家だったのではないでしょうか?」
「妻に確認しましたが、そのようなことはないという事です。枇々木さんも奥様も関東ご出身なんです。つまり神戸の大使館へ行くことが目的だったのです」
「内藤さんご自身ではどう思われているのでしょうか」
「はい、もちろん推測ですが、東京のイスラエル大使館にスパイがいたか、何らかの方法で盗聴されていたのだと思います。その情報を知ることで、枇々木さんは神戸に向かったのだと思われます」
内藤のこの発言で政府与党議員たちは黙り込んでしまった。
大臣クラスももちろん総理大臣も苦虫を潰したような表情になっている。
大河内議員は真相を究明しないと政府の信頼を失うと判断して、与党内で調査委員会を至急結成して調査に当たるように総理へ進言した。
「では、内藤さん、われわれが今考えている以上に当時としてはイスラエルへ核兵器を渡すという事はアメリカとしては大変な掟破りだと言われるのですね?」
「はい、民間機を撃墜してでも枇々木さんをイスラエル大使館へ行かせてはならないという事だったのです」
「枇々木さんは大使館よりマスメディアへリークすれば良かったのではないですか?」
「これほどの事案を報じるとすれば、当時では日本とアメリカとの関係がどうなったか想像がつきます。それはさすがに新聞各社もテレビ各社も中小の雑誌でも出来なかったと思います。枇々木さんは自分の耳でイスラエル大使館から真意を聞き出し、中止するように言いたかったのだと思います」
「なるほど、暴いて自分の人気やお金のためにするという事ではなかったと仰りたいのですね?」
「先生、これからはわたくしの想像ですが、この米軍の核弾頭引き渡しのシナリオはどこかに漏れていたと思われるんです。ひょっとしてそのことを枇々木さんは言いたかったのだとすれば、アメリカは間違った判断をしたという事になります」
「ええ?アメリカ軍の裏切り行為を暴くのではなく、情報が漏洩しているという事を伝えたかったと言われるのですか?」
「はい、そういう事です」
再び場内がざわめき立った。
「内藤さん、その根拠は何ですか?」
「枇々木さんはどうして神戸の大使館へ行こうとしたのか?という事がボクには謎だったんです。大使館なら東京で十分でしょう」
「神戸か関西がご自宅か奥様のご実家だったのではないでしょうか?」
「妻に確認しましたが、そのようなことはないという事です。枇々木さんも奥様も関東ご出身なんです。つまり神戸の大使館へ行くことが目的だったのです」
「内藤さんご自身ではどう思われているのでしょうか」
「はい、もちろん推測ですが、東京のイスラエル大使館にスパイがいたか、何らかの方法で盗聴されていたのだと思います。その情報を知ることで、枇々木さんは神戸に向かったのだと思われます」
内藤のこの発言で政府与党議員たちは黙り込んでしまった。
大臣クラスももちろん総理大臣も苦虫を潰したような表情になっている。
大河内議員は真相を究明しないと政府の信頼を失うと判断して、与党内で調査委員会を至急結成して調査に当たるように総理へ進言した。
作品名:「熟女アンドロイドの恋」 第三十四話 作家名:てっしゅう