小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

風鳴り坂の怪 探偵奇談15

INDEX|3ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 


山は生きている。土も、草も、そこに光る水滴にまでに命を持ち、魂を宿す。風が山々を駆け巡るのは、命たちが囁く合図だった。

天谷颯馬(あまたにそうま)は、この沓薙(くつなぎ)山の守護者である神々を祀る家系に生まれた。神様の声を聞き、存在を感じ取る力とともに。

山にいると、色んな声が聞こえる。

―今夜も雪になるな
―あの子どもはもう、助からない
―彼女の願いはもうすぐ叶うだろう

幼かったころから、颯馬はご神木の下でそんな声を幾度も聞いた。予言なのだろう。そしてその予言は必ず現実になった。この声が聞こえることは、誰にも秘密だった。そうするのがいいのだと、颯馬は幼い頃から知っていた。口に出してはいけないことが、この世にはあるのだと、胸に秘めた。ときおり、一人で胸にしまうにはつらすぎる言葉も聞いたりしたが、それでも決して他言はしなかった。

今朝もいつもと変わらぬ、うっすらと雪の積もる穏やかな朝だった。それなのに、本殿に立ち寄った颯馬は、山がざわめいているのを感じ取る。ここ一か月ほど、どこかそわそわとした焦りというか、どうにも落ち着かない気配を感じるのだ。それが気になり、毎朝足を運んでいるのだが…。

(あ、いるな…)

天狗池を眺めていると、背後に大きな気配を感じた。


町 の 西 に 不 浄 の 風 が 吹 き 荒 れ て お る


この声は、颯馬に未来を告げるモノたちとは一線を画すものの声だ。