小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

新・覇王伝__蒼剣の舞い【第3話】

INDEX|8ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

                    3
 『オ前ハ誰ダ?』
 金色の眸を向けながら“彼”は云う。
 『オ前ハ___誰ダ?』
 鋭い爪と鱗に覆われた手。
 「あ…」
 『喰ラウテヤロウカ?拓海』
 「うわぁぁぁっ!!」
 拓海の絶叫は、蒼国王城に響き渡った。
          ****
 「___で?」
 今にも怒りを爆発させそうな男に睨まれ、焔は笑顔を引きつらせる。
 「やだなぁ…、大袈裟なんだから」
 「てめぇ…やっぱり一度死ね」
 「セイちゃんには、何もしてないじゃないか!」
 「うるせぇっ」
 「星宿さま、止めなくていいんですか?本当に殺されちゃいますよ」
 「いくつもことだからな」
 「でも…」
 拓海としては、複雑だ。本当なら、焔の被害に遭い怒っているのは自分の筈なのだ。ついうたた寝をし、背後から近づいた焔に背筋をつぅと撫でられて、拓海は絶叫した。
 しかも見ていた夢が夢だけに。
 拓海が来る前は、その被害は清雅が受けていた。叫ぶ事はしなかったが、剣を振り回し焔を追っかけていた。二度と来るなと蒼国追放したが、四獣聖・朱雀と云う立場上その拘束力は、覇王しかない。
 つまり、四獣聖の就任と解任、更には承認は覇王しかその権限がないのである。前覇王がなくなっても、解任令は下りていない以上、彼らは四獣聖であり続ける。故に覇王の親衛隊と呼ばれるのだ。
 だが、何故あんな夢を見たのか。
 拓海の表情は、途端に硬くなる。
 ____恐らくアレだ。
 白王の突然の来襲に変化した清雅。
 『そのまま、魔物になるがいい』
 白王の放った言葉は、夢の中で具現化される。
 『万が一、邪心を抱く者が七星を揃えれば、ドラゴンは単なる魔物になる。四国を破壊する魔物にな』
 北方七星・斗宿の云った言葉は、恐らく事実。
 「拓海」
 「え…」
 「どうかしたか?」
 「いえ、何でもありません。星宿さま」
 ある可能性を頭の中で打ち消して、拓海はにっこりと笑った。
          ※※※※※※※※※※
 「なに…?」
 その報せに、男のグラスを持つ手がガタガタと震え出す。
 「蒼王は、覇王を目指しています」
 「野育ちの分際で、覇王家の嫡男たる吾を差し置いてか!?おのれ…っ」
 覇王家崩壊25年経ってもその権力に固執する男は、怒りを露わにした。