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新・覇王伝__蒼剣の舞い【第3話】

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第3話 白き陰謀


                    1
 目覚めよ、時は来た。四国は再び揺れ動かん。目覚めよ。七つの星たちよ。我が半身よ。時は来た。
               *****
 覇王家には、子供が三人いた。北の黒狼、西の聖連、そして___。
 「お黙りっ!」
 城の中に、女性の怒鳴り声が響く。
 「ですが、紅王陛下。黒抄の黒王さまは黙っていませぬ」
 「何故、黒抄の目を気にしないといけないのよ。うちが負けると思って?」
 燃えるような赤い髪を掻き上げながら、男装の女性が男たちを睨んだ。
 紅王___南領・紅華国の女帝にして覇王家長女。名を凌姫・ ロズ・ウォン。
 「…黒王さまは…陛下の兄君にございます…」
 「だから?」
 「陛下っ」
 「覇王家の時代は終わったのよ。それに、覇王家を崩壊に導いたのは黒狼義兄さまの暴走よ。今だって、自分こそ覇王だと思ってるどうしようもない愚兄だわ」
 「なんということを…」
 「本当の事よ。蒼剣が覇王家から消えたのも納得だわ。黒抄が何と云って来ようと、私の態度は同じよ。アレは渡さないわ。アレは、私がお父さまから預かったものよ。そうお義兄さまに伝えなさい」
 「後悔されますな…っ」
 男は、悔しさを滲ませ謁見室を出て行く。
 「陛下」
 「今度は、何なの?」
 「赤の谷に、不審な者たちが現れたと報告が」
 「赤の谷?あんな所に何故?」
 「如何されますか?」
 「まさか、黒抄じゃないでしょうね?」
 「いえ、白装束の男たちと聞いておりますが」
 「…あまり思い出したくない男を想像したわ」
 彼女の脳裏に浮かんだ男も、凌姫の持っているものを狙っている。いや、狙うだろうと云うべきか。未だ彼女が持っているとは知られてはいない。
 『____を、御存知ですか?』
 久しぶりに会うその男は、そう聞いてきたのだ。
 「紅王陛下」
 「怖いのは、黒狼義兄さまより寧ろあの男ね」
 「___?」
 現今は静かに傍観している義弟・聖連。
 『父上が蒼剣の次に大事にされていた____ですよ。義姉上』
 笑みを浮かべながら、探ろうと云う目。
 あの異能の男なら、術にかけて相手に自白を促すのは容易だ。凌姫でさえ、あのまま向き合っていたらどうなっていたか。
 「それより、蒼剣が見つかったそうね」
 「蒼国の蒼王さまがお持ちでございました」