オヤジ達の白球 6~10話
「しでかしたんだよ、その失態を。いいか坂上。よく聞け。
みんなが聞きたいのは、なぞの美女の個人情報だ。
休みのとき、ソフトボールの公式審判員をやろうが、相撲の行司をやろうが
そんな事はどうでもいいことだ。
熊が言うように、もっとましな情報を拾って来い。
期待した俺まで、なんだか損した気分になっちまったぜ」
同級生の岡崎が、チェッと露骨に舌を打つ。
「そういうなよ岡崎。
話はそれだけじゃねぇぞ。実はいい話がもうひとつ有る。
耳よりの話だ。
こいつは間違いなく、ビッグニュースだ。
どうだ、聞く気は有るか?」
「耳よりの話がある?。しかも、ビッグニュース?。
大した情報も持ってこないピンボケ野郎のくせに、よく言うぜ。
まぁいい。同級生のよしみだ。
酒のつまみに聞いてやるから、小さな声で言ってみな」
「実はよ俺。一大決心をしたんだ」
「一大決心だって?。お前さんが?。へぇぇ珍しいことがあるもんだ。
昔から飽きっぽくて、何をやっても長続きしないお前さんが
一大決心したのか。
面白い。興味があるねぇ。なんだ早く言え。聞こうじゃねぇか」
岡崎がグラスに残った日本酒を、グビッと音をたてて呑み込む。
(11)へつづく
作品名:オヤジ達の白球 6~10話 作家名:落合順平