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カクテルの紡ぐ恋歌(うた)Ⅺ

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「すげえ、大須賀さんの手作りー!」
「非常呼集サマサマってトコだな」
「たくさん作ってきたんで、皆さんもよろしかったらどうぞ。ほら、美紗ちゃんも」
 大須賀は、佐伯の傍で棒立ちになっている美紗に手招きをした。そのふくよかなシルエットの後ろで、再び出入り口のドアが開いた。中に入ってきた巨大な影は、一人ではしゃぐ3等海佐の背後に忍び寄ると、「ご苦労さん!」と割れるようなしわがれ声を出した。
「うわあ!」
「週末がパーになっちまったってのに、何かエラく楽しそうじゃねーか」
 窓際近くまで飛びのいた小坂を指さしてゲラゲラ笑った西野は、香ばしい焼き菓子が詰まった箱に目を留めた。
「おっ、美味そうだな。誰かの土産か」
「8部の大須賀さんが、わざわざ差し入れを持ってきてくれたんですよ」
「ほーっ。俺、こう見えても甘党なんだ。一つもらっていいか」
「えっ、ちょっと待……」
 慌てふためく小坂の前で、大須賀はマフィンを一つ箱から取り出した。
「どーぞ。お口に合ったらいいんですけど」
「ありがたくいただきます!」
 西野はヒグマのごとく大口を開けると、大須賀の手作りに遠慮なくかぶりついた。
「うん、こりゃいい味だ。ごちそうさん!」
「……お、俺より先に食いやがって……」
「んあ? 何か言ったか小坂ぁ!」
 ヒグマに睨まれた小坂は再び飛び上がって窓際に逃げた。