小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「熟女アンドロイドの恋」 第二十七話

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「エイブラハムさん、核兵器の売買を非難しているのではありません。核拡散防止条約に加盟していたアメリカが懸念される中東地域に核兵器という脅威をイスラエルに与えるという事が何を意味するのかという事です。絶対に知られてはならない取引だったのです。枇々木浩介さんが神戸にあるイスラエル大使館へ何をしに行こうとしていたのかを知り得た誰かが、最悪の事故を装って隠そうとした犯罪行為を見過ごせないという事なんです。私の父親は直ぐに報道しようとしましたが原稿と共に行方不明となりました。
まだ公開していませんが、父の残したメモが見つかったんです」

内藤が話した父親のメモが見つかったという事をエイブラハムは初めて聞かされた。

「メモですか?梓さんはご存じなんですよね?」

梓が答える。

「はい、見せて頂きました。絶対に誰にも言わないようにと口止めされていましたので喋りませんでした」

「そうでしたか。そのメモの内容というのは教えて頂けるのですか?」

「日本大使が来たらその場で公開しましょう。メモは私が子供のころから身につけていたお守り袋から出てきました。短い文章ですが、父は身の危険を感じていてそうしたのだと思います。自分が考えていた以上にあの事故は許せないものになっていたのです」

「お守り袋というのは中身を見ないものだと聞いています。どうして気付かれたのですか?」

「考えて、考えてひょっとしたらと思ったことがきっかけです。ヒントはドラマのシーンでした。今時お守りなんか大切にしている友人などいませんでした。そのことを考えて、ひょっとしてこれは父親が何か言いたかったのではないのかと感じて中を開けました」

「それはいつ頃の話ですか?」

「拉致されて自分の荷物が全部取り上げられた時に、身につけていたものがお守りだったんです。これで守られているのかも知れないと思うと、自分がなぜこんなものを大切にしてきたのだろうかって考えたことが無かったけど思うようになりました」

「お父様の残されたメモが決定打となったのですね?」

「心の中ではそういうことになります」

ドアをノックする音が聞こえた。日本大使がやって来たのだ。