小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「熟女アンドロイドの恋」 第二十六話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
ストリーツカは時間が来たと中止の意志を示したが、会場内のざわつきをこのまま放置することは後日に禍根を残すと考え、最後の質問とすることを条件に許可を与えた。

「日本タイムズのジェームスアンドリュースと言います。今85年航空機墜落事故の関係者であると翻訳されましたが、わたくしの父は当時の事故で日本人だった母親、つまり私の祖母を亡くしています。父親は亡くなる前に祖母のことを何度も何度も殺されたと言っていました。詳しくお聞きしたいのですが、ここでは言えないことがあるのでしたら、別室でインタビューさせて頂けませんか?」

質問したジェームスは今回の会場に偶然居合わせたのではない。
魔王で平山と立ち会ったジャーナリストから各マスコミ関係者に85年の事故に関する重大証言があると聞かされていた。
なかでも身内に搭乗者がいたジェームスは送られるべくして会場に来ていた。

おそらく内藤から何らかの指示が遺族会の平山に伝えられていて、それを聞いたジェームスが「殺された」との発言を用いたと思われる。
会場内に居た一般の見学者たちにも事故のことを記憶している年齢の人もいた。
異様な雰囲気の中でストリーツカは今回のこの会見を誰が画策したのかやっと気付かされた。

「我々はアンドロイドの完成を知って頂くためにこの会見を行いましたが、ジェームス様のご質問は趣旨から外れておりますので、一旦打ち切りとさせて頂きます」

そう話しかけると、会場内から猛烈なブーイングが出た。
一人の男性がストリーツカに言葉を浴びせる。

「今最後の質問とさせて頂くと言ったではないか。打ち切るとはどういうことだ」

そうだ、そうだの声が響く。

「アンドロイドが答える内容はあくまで本人ではないという事になりますので、どのような発言でもそれを報道して戴くことは止めて頂けるというお約束で続けさせていただきます。宜しいでしょうか?」

ジェームスの質問に対してアンドロイドAD-MNが答える。
ここに来てストリーツカは非常にまずいことになったと自分が好意で内藤と梓の頼みごとを聞き入れたことを反省した。
事は日本国内だけの問題ではなくなってしまうという懸念に発展する。

翌日、各新聞のトップで人型アンドロイドの登場と併せて85年航空機墜落事故の疑惑が大きく報じられた。
いきなりの報道に政府は動揺が隠せなかった。
外務省から在アメリカ大使を通じて本国とアンドロイド製造責任者のストリーツカに抗議が行く。