LOVE BRAVE外伝Ⅲ
始まり
― ある日のこと。トロント市内某所でLOVE BRAVEが全員集合していると、時空のひずみが発生した。
「えっ?何だ何だ」
ヴォーカルのフィルがそう言った直後、4人とも別空間に飛ばされた ―
「「「「うわあぁ〜」」」」
LOVE BRAVEが着地すると、彼らの目の前には一つの大きなトンネルがあった。その上面には、アルファベットではっきり「FATAIA」と書かれてある。
「ファタイア……だって」
ベースのジミーが言うと、ギターのスティーブンが大きめの声で言った。
「ファタイア…。俺、それ絵本で読んだことあります!妖精の国ですよ!」
それを聞いた一同は、びっくり仰天。
「妖精の国が、本当にあるのか……」
ギターのヒューゴがそう言い終わらないうちに、フィルは
「妖精の国か。面白そうだね。よし、行ってみよう!」
という言葉とともに、トンネルの中に入った。ほかのメンバーも、リーダーの後を追った。
妖精の国「ファタイア」へのトンネル内の壁には、壁画のようなものが描かれていた。
「これ、何が描かれてんだ?」
意外なことに、ジミーの質問に答えたのはヒューゴだった。
「多分……その国の妖精にまつわる伝説じゃないか?」
「珍しいね、ヒューゴがファンタジックなことを言い出すなんて」
意外な一面を知って驚くフィルに、ヒューゴは答えた。
「昔、フィオナに読んでやった絵本に、この手のエピソードがあった」
「俺、妖精に会ってみたいです」
スティーブンがうきうきしながら発言した。
トンネルを通り抜けたLOVE BRAVEに、驚くべき異変が起こっていた。最初にそれに気付いたのはフィルだった。何と、来ている服もろとも彼の体が子どもになっていたのである。
「あれ?僕、ちっちゃくなった…!?」
その声も、彼が声変わりする前のものだったのだ。声変わりする前の声で、ジミーが言った。
「何だこりゃ。どうなってるんだ?自分たちみんな、子どもになってる」
作品名:LOVE BRAVE外伝Ⅲ 作家名:藍城 舞美