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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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赤秋の恋(千代)

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似顔絵


 その夜、佐藤はビジネスホテルに泊まった。千代の似顔絵を描いて、明日には届けたかったのだ。
千代の家庭の樫の木に、登るように弦が巻き付いた、ノウゼンカズラのオレンジの花が満開だった。佐藤はその花を背景に使った。色鉛筆では正確な色は出せないが、何枚か描いてみた。花はいずれにしても、千代の顔は正確に描写したかった。また、それは佐藤にとっては、心が癒されていた。既婚者の千代ではあったが、佐藤は1枚の似顔絵に恋を抱き始めていたのかも知れなかった。納得できる絵が描けたのは、朝日が昇る時間であった。
 タクシーを使い、千代の家のポストに、似顔絵を入れるつもりであったが、入らなかった。
 近くのコンビニに立ち寄り、宅急便で届けることにした。正確な住所はわからないが、グーグルで検索した番地を記入した。
「差出人さまのお名前と電話番号がもれています」
佐藤は自宅の住所とフルネームを記載した。
 千代は、佐藤からのお礼の時計を見た。手入れが良いのか、新しい感じがした。ロゴを検索すると、高級時計と分かった。
千代は貰うつもりはなかったから、そのままリュックに戻し、何一つ処分しなかった。
 それから1日経って、似顔絵が届き、写真のように細かな描写に千代は感動した。

 先日はありがとうございました。再び、絵を描く気持ちになりました。織姫と彦星は1年に1度会えるのですね。

たったそれだけの文章であった。

1枚のA4の紙の余白に、まだ文字が書かれているように千代の心は感じていた。








































































作品名:赤秋の恋(千代) 作家名:吉葉ひろし