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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第二十四話

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ストリーツカとの研究がほぼ完成に近づいたと見たエイブラハムは懸案の墜落事故裁判への出廷が認められるように、外務省へ二人の国外追放を取り消す申請を手伝いたいと話した。
ワシントンDCへ向かう車の中で、自分が駐米日本大使に提案した条件を伝えた。
内藤は納得しない顔つきだったが、梓は裁判へ出廷することを最優先しましょうと説得をした。

「エイブラハムさん、一つ条件があります。裁判はこの提案通りに私は弁護士と共に証言をして判断を司法へ委ねることにします。ただし、この中には父親の行方に関する情報が含まれていません。在日米軍の資料を調べて当時の係官が存命だったら調べて頂けませんか?」

「内藤さんのお父様に関する情報を手に入れることが最終合意の条件だと言われるのですね?もし叶わなかった時はどうされるというのでしょう?」

「残されている時間も少ないので、直接裁判で疑問を提起することになります」

「それは帰国させるための日本政府との合意に反しますよ。必ず誓約書に署名することになりますから、違反すれば大きな罰則が科せられると思うのですが、懸念が無いのですか?」

「日本政府は私と梓に帰国許可を与えた時点で、相当なリスクを背負うことになります。空港を出て無事にホテルや、まして裁判所まで行けるか疑問です。私はストリーツカさんにあることを依頼しました。それが私とストリーツカさんの計画への最終合意です。
今は話せませんが、まずは今お願いした人探しを米軍へお願いしてください」

エイブラハムは懸命に努力したが当時の在日米軍の指揮官は存在しなかった。50年を大きく経過して生きている人がいなかったのである。
もしかして日本で暮らしている元アメリカ兵がいるかも知れないと厚木基地に問い合わせをしてもらったが、判明はしなかった。

夕食を交えながら、エイブラハムと内藤夫婦は日本大使と最終合意に至った。
握手を交わし誓約書に署名して、晴れて日本の遺族会が提訴している裁判へ出廷できることとなった。
しかし、これはあまりにも簡単にそして迅速に運んだことが内藤にこれから起きることが確実なものとして感じられた。

その日のホテルで妻の梓にこれからの決意を語り始めた。

「梓、聞いてくれ。エイブラハムさんが尽力して帰国できるようになったことは感謝するが、これには裏がある。端的に言うとおれたちは日本に入国してすぐに拉致されるだろう。下手をしたら何かの事故に見せかけて殺されるかも知れない」

「ええ、そうね。私もそんな風に感じるわ」