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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第二十二話

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事故原因を航空機メーカーの整備不良とした判断は誤りであり、50数年を経過して事実を発表するに至る経緯は、遺族会のみなさまへの強いお詫びの気持ちであり、たとえ訓練中に自衛隊機の故障から誤った方向に発射されたとはいえ、迅速な対応と、報告を怠ったミスは許されるものではない。
ここに深くご遺族及び関係者の皆様にお詫びを申し上げ、政府として今後の対応を検討する次第である

ここには二つの嘘が隠されていた。
一つは、訓練用ミサイルを発射したのはアメリカ軍であるということ。
あと一つは、誤射ではなく狙ったものであったことだ。
鋭いライターによって米軍が疑われることはあるかも知れないが、狙ったものであるという事はその裏側にある極秘事項が表に出なければ信ぴょう性が乏しくなる。

エイブラハムとしては自国の正当性が脅かされる事態となるので、あくまで日本の自衛隊による誤射だったと言い切ってもらいたいとの思いがあった。
ではどうやって現政権が揺らぐことを防止するか?
それを提示しなければ日本大使は総理大臣へ話すことは無いだろう。

その日の夜ホテルでエイブラハムは徹夜して考えていた。
そして一つの疑問の答えを導き出していた。
梓の夫であり、アンドロイド技術を開発した内藤肇の父親であり、フリーのジャーナリストだった内藤義男は何故あの事故現場の近くに居たのか?という事が解ったのだ。

当時在日米軍は厚木基地や横須賀基地にミサイル搭載用の核兵器を保管していたが、それは絶対の機密であり、動かせるものでもなかった。
基地からの大掛かりな移動は日ごろから基地周辺に住んで常に見張っている特定の左派グループに怪しまれる。

深夜に持ち出したとしても、それはそれで却って不信を招く。
イスラエルへ搬送しようと計画されていた核兵器弾頭部分は基地内ではなく、ある秘密の場所に保管されていた。
それがどこなのか教えられてはいないが、様々な情報と内藤義男が居合わせたという事から、何らかの方法で情報を掴み調べていたであろうこと。そしてその情報は梓の父親である同じくジャーナリストの枇々木浩介からもたらされて裏を取るように指示されていたとしたら、辻褄が合う。

バラバラに見えた点が一つの線上に並んでいた。