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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第二十二話

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ストリーツカはワシントンの空港でエイブラハムを出迎えた。
その足でペンタゴンへ向かい、在日米軍を指揮する補佐官と対面した。

話し合いは難航し、夜になって日本大使を呼び寄せ、三か国で再度協議を重ねた。
席上エイブラハムが重い口を開いた。

「わが国王は内藤夫婦に関して寛容であり、養子縁組をしてでも日本へ連れて行くとの気持ちを持たれています。これには反対できません。正当な理由が無いからです。ですが、これはアメリカと日本にとって国外追放を理由に入国を拒否できます。問題はそうなったときにアラビア国が出てくると厄介になります」

日本大使が答える。

「内藤と梓は名前を変えても本人であることが確認されれば当然入国拒否となります。ご心配には及ばないのではありませんか?」

「大使、もしアラビア国のそれも国王の養子となり世間に公表されれば、それでも日本政府は入国を拒否できますか?」

「誰が見てもたとえ国王の子供としても内藤であり梓である以上は拒否できます。言ってみれば国際手配の犯罪者を入国させないことは常識であるからです」

「では、内藤さんと梓さんがどのような犯罪者であると国際的に公表するのですか?」

「それは・・・」

「私は無理だと思います」

ストリーツカも首を縦に振った。補佐官も反対は出来なかった。
エイブラハムはすべてをうまく収めることは不可能な状況なので、ここは日本が汚名を着て乗り切ることが得策だと訴えた。

「大使、直ぐに私の考えを総理大臣に諮問して戴けませんか?」

「なんという事・・・政権維持が危なくなるようなことを受け入れるはずがありません」

「では、内藤さんと梓さんはアラビア国王の養子として日本へ向かいますよ。空港で止められたら、両国間の関係にヒビが入ると予想されますが、それで宜しいのですね?」

「時間をください。関係者と相談の上総理に伝えるかどうか決めたいと思います」

エイブラハムの提案する謝罪会見は次のような内容であった。
85年8月に起きた航空機墜落事故の遺族会が訴えている事故原因に関しての新しい情報が得られたので公表する。
当日羽田を離陸した機体は相模湾に差し掛かった時に、折しも厚木基地内で行われていた日米合同訓練中に自衛隊機が誤って発射した訓練用ミサイルが垂直尾翼に命中し、その衝撃で圧力隔壁に損傷が生じ墜落に至った。