どういう理屈なの!?
「…ボタンが多い大型電卓?」
もう一つの箱の中を見て、首を捻る如月さん。
手を伸ばした霜月さんが、機器を取り出します。
「これはねぇ、色々入力すると…真実の年齢が判る計算機」
「真実の年齢って…」
「実年齢から、無駄に過ごした年月を引いた年齢」
手にした計算機のボタンを、霜月さんは指で適当に叩きました。
「例えば…実年齢が20才でも、有意義に過ごした年月が10年しか無ければ、その人の真実の年は10才なんだって」
「…」
「自分の今までの人生の日々の大半が無駄だと判断されるのは…中々の非情だよねぇ」
沈黙する如月さんに、霜月さんが意味ありげに微笑みます。
「確か、如月の生年月日は…」
「え? 何をするつもり?!」
「ちょっと、如月のデータを、入れてみようかと」
「そんな事、しなくて良いから!」
「まあまあ。どうせインチキだし♡」
「しーもーづーきー!!」
霜月さんの手から、如月さんは乱暴に計算機を奪いました。
「─ あんたの方が私より、よっぽど意地悪婆さんに相応しいから!」
作品名:どういう理屈なの!? 作家名:紀之介