如何なる存念
-7日後、早川家の本城 -
「英明殿の御帰国に当っての…我が殿の存念です」
軍使の孝高は、包状を床に置いた。
手に取った早川家の重臣が、開いて中身を見る。
「…我が方の、位路砦と羽仁砦と交換?!」
重臣は、顔色を変えた。
「こ、この条件では…」
「江井砦には、兵糧が一切御座らん様ですぞ?」
「─」
「もう限界だと推察致しますが…」
懐から取り出した、細長く折りたたまれた紙を開く孝高。
「我が方に、打ち込まれた矢文でしてな」
「こ、これは…」
そこには、英明の首と引き換えに助命して欲しいと言う内容が書かれていた。
「御決断を急がれた方が、宜しと愚考致す所存」
「…」
「返答は、如何に?」
「しょ、承知仕りました…」