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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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ポジティぶ なんだから (最終話の前に第9話追加)

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第7話 お金の使い方教えてほしいんだから



Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr.Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr…
ガチャ。

「はい、もしもし」
「わたくし、○○××選挙事務所の△△と申します。社長様はいらっしゃいますでしょうか?」
「はい、おりますが、どのようなご用件でしょうか」
「私どもが推進する活動で、ぜひ・・・・・・」

よくこんな面倒な電話がかかってくる。
こんな時、適当な返答をして切るように、ボスから言われているんだ。
成功者に群がるやつって本当に多いんだから。

「また寄付の依頼か?」
「そのようですね」
「パーティだとかセミナーだとか一回出るだけで、一人から何十万、何百万集めて、よく違法にならないな」
「最近多いですね」
「この前なんか、ぜんぜん知らない夫婦が尋ねてきて、『祖国のために立ち上がりましょう』とか言われたぞ」
「祖国ってどこの国ですか?」
「朝鮮らしい」
「ボス、日本人ですよね」
「コッテコテ大和民族だ」
切れ長な目と角ばった顔立ちで、まあまあ、間違われそうでもあるんだから。

Prrrrrrrrrrr…
「はい」
「・・・オリンピアコーポレーションのお得なクレジットカードのご案内で、今なら限度額が最大500万円・・・」
「アメックスのブラック持ってるから」
ガチャ。

「・・・××リゾート開発の、ゴルフ会員権は、お客様に有利に・・・」
「ゴルフ場持ってるから」
ガチャ。

「・・・ロサンゼルスのホテルのスイートルームをシェアで、優先的にご予約いただける・・・」
「ロスならコンドミニアム持ってる」
「そうでしたら、アジアのリゾート地にも多くの宿泊施設を有効にご利用いただけるサービスも・・・」
「バリとかプーケットなら、ヴィラを経営してるから」
ガチャ。

「・・・国内の長距離移動には、やはりヘリのリースが便利かと思いまして・・・」
「今、ホンダジェットの商談中だから」
ガチャ。

ボスが電話に出ると、わざと話を大袈裟に盛ってるんだから。

「お金のあるところには、景気のいい話ばっかり来ますね」
「でも、つまらん商品セールスばっかりだ。持っててもほとんど使ってないからな」
「え? どんなの持ってるんですか?」
「??? 今まで電話の内容聞いてなかったのか?」

本当に持ってるんだから。

「使わないともったいないですね。」
「たまには使うぞ。ハワイに行ったら、その半分は別荘に泊まるし、お前に勧めた温泉施設も、俺の会員権で安く予約出来たろ」
「社員が多い大企業なら、使いまくり出来ますね」
「うちは少人数だけどグループ全体では、結構使ってもらってるはずだけどな」
「マリーナでBBQした時も、クルーザー出してもらいましたね」
「儲けまくって、変に税金ばっかり取られるより、皆にもこんな形で還元する方がいいだろ」
「税金対策ですか」

Prrrrrrrrrrr…
ガチャ。
「・・・今このシステムに投資されれば、将来は明るいので・・・」
「投資の話なら、よく聞きますから、いつもお断りさせていただいていますので」
「そう仰らず、一度お伺いしてご説明させていただきたく・・・」
「おい、代われ」
ボスが身を乗り出して、手を伸ばしてきた。
「あ、今社長に代わりますので」
ボスは受話器を掴むと、いきなり、
「お金が増える話は聞き飽きた」
「それでも・・・・・・」
「だから、お金はもう十分なんだ」
「確実にお力に・・・・・・」
「増やしてくれなくっていい! うまい使い切り方を教えてくれ!」
ガチャ。

お金の悩み方が、僕らとは違うんだから。