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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第十八話

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「枇々木浩介さんは、イスラエル大使館へ行こうとしていた。ボクが聞いた話だと、その目的はアメリカから知り得たアラブ諸国との対応策だったと考えられる。これからは推測だけど、イスラエルの核装備に関する情報だったのではないかと思われるんだよ。アメリカが国際的批判をかわすために独自に開発したと言うことにしているけど、実際は提供する密約を枇々木さんが知り得たとすれば、そのことを確認するために家族旅行を装って神戸に向かったのではないかと思っている」

「父はジャーナリストとしての使命を果たそうとしていたのね。ひょっとしてあなたのお父様と知り合いだったということは考えられない?」

「そうか、そういう事か。父が何故あの場所に居たのか分からないけど、何かの聞き込み調査に行っていたと考えられる。それが何なのか解れば、事故を目撃したこと以外に知り得ていた情報を抹殺するために誘拐したのかも知れない。日本の裏組織ではなく、アメリカ軍の仕業だったということか」

「怖いことになって来たわね。今になってこんなことが表沙汰になることは予想外だったでしょうね。もしかして、エイブラハムさんは私とあなたを引き合わせて、自分の手の中に引き入れようと工作したとも思えるわね」

「そうだよ。きっとそうだ」

内藤と梓は偶然ではなかった出会いに強い運命を感じていた。
自分たちはエイブラハムに対して、そしてストリーツカに対して何も知らないように振る舞おうと決意した。
危険な逃避行をするより、いったんアメリカに渡った方が得策だとの結論に達した。

内藤が当初考えていた、国連でこの案件を人権問題として提訴する方向で協力者を探すことが出来ればいいのだが、頼りにしていたニューイスラエルがあてに出来ないことが分かったので、反米組織に協力を求めることがストリーツカの研究所で始めるもう一つの仕事だと内藤と梓は言い聞かせていた。

数週間の後、ストリーツカは約束通りに日本政府の許可を得て二人をアメリカへ移住させる手続きを開始した。
全ての荷物をまとめて、ドバイ空港からエイブラハムに見送られながらアラビア半島を後にした。
機内でストリーツカと今後の入念な打ち合わせを内藤は重ねていた。
彼の頭の中には今はアンドロイド技術の製品化しかないような思いをストリーツカは強く感じていた。