期待してるから♡
「この子が<ムラサキうさぎ>さんですか」
有希子さんが差し出したぬいぐるみに、希穂さんは顔を近づけました。
「そう。今一番気になってる子♡」
「何で…お家に、連れて帰ってあげないんです?」
「今月は、お金が…」
表情を曇らせた有希子さんに、希穗さんが耳打ちします。
「この子…私に譲って下さい!」
「え?」
「ある ぬいさんラブの人への、プレゼントにしたいんです。」
「…」
「ユッコさんのお眼鏡に叶うぬいさんなら、それに相応しと思いますし」
手にしたぬいぐるみを見つめながら、有希子さんは思いを巡らせました。
「この子をここに残したままにしておくと…知らない誰かに連れて行かれかねないよね。だったら、希穂ちゃんの手に委ねた方が…」
覚悟を決めた目が、希穗さんに向けられます。
「その人は…この子を幸せしてくれる?」
「─ 保証します!」
「だったら、この子の事は…希穂ちゃん任せる。」