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月とコンビニ
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きょうはくデート!!

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きょうはくデート!!
著:大島→松田→大島(リレー方式)

【登場人物】
・沢田研二
・岩崎宏美


前回までのあらすじ!
極悪非道なお嬢様こと「岩崎宏美」に家宝の壺を割った罪として、賠償金5000万を明日中に用意するか、一緒に遊園地に行くかという2択を迫られてしまう。こんな事なら昨日、岩崎の家になんか行くんじゃなかったよ。とほほほ。
弁明の余地なく、俺は週末に岩崎と一緒に遊園地に行くことになったのだった。



研二 「あーあ。流石に5000万円はすぐに用意できないからな。何かてっとり早く稼げる手段はないのかね。あ、そういえば株って5000万円くらい稼げるんじゃなかったか?あーーーでも今から株を勉強しても間に合わないし…岩崎って株のこと詳しいかな?今度教えてもらおうかな…って駄目だ!そんなことしたら授業料として更に膨大な金額を請求してくるぞ…これは岩崎の要求を受け入れるしかないか。それにしても、なんで岩崎は家宝の弁償の代わりが遊園地で一緒に遊ぶことなんだ?あいつの事だから賠償金の代わりに屋敷で飼っている犬の肛門を舌で掃除させるとかそんな事かと思ったぜ。はっ!さては……っ!俺を『デッ●コースター』並みのアトラクションで恐怖で震え上がらせるつもりなのか!フフフフ…流石あの極悪非道なお嬢様が考えそうなことだぜ!いいだろう!向こうがその気なら、こっちもそれ相応の覚悟と格好で挑まねばなるまい!いざっ!!」

岩崎 「ふ、予定よりも30分早く現地に着いたわ。ちょっと早く着きすぎちゃったかしら。まぁいいわ。これで向こうが到着してから、遅れて登場! 『ごめ~ん、まった?』『まってないよ。それに待ってる間もデートのうちだろ?』キャー!!デートだなんて!!!はっ!そうよ!宏美!昨日あれだけ苦労して家の壺を割らせて遊園地の予約を取り付けたんじゃない!(ま、割らせた壺はそれっぽく見えるただのガラクタなんだけどね♪)
あーデートかー。デート…。アイツはきっとデートって気づいて無いんだろうなー。それに比べて……私めっちゃお洒落してるーー!!ま、まぁ岩崎家の長女となればいかなる時もお洒落は忘れないわ!で、でも…大丈夫かな?私?いろんなところがフワフワのヒラヒラじゃない!?アイツはきっとフッツーの服着てくるわよね!どーしよ、急に恥ずかしくなってきた!」

研二  おい、そんなところで何ウネウネしてんだ?
岩崎  キャーーーー
研二  キャーはないだろ、
岩崎  あーごめんごめん。(この声はアイツね。さて、アイツは一体どんな格好で来たのか見てやるわ…)

●研二は全身黒のスーツにオールバックを決め込んでいた。

岩崎  ってめっちゃ気合入ってるー!!!
研二  (お、動揺してる動揺してる!やっぱ勝負事の服と言ったらジェームズボンドだろ)※偏った知識である。
岩崎  な、なんでもないわよ!ほら、さっさと行くわよ!(あー焦った焦った。え?何あの格好…!いつもはふざけた奴なのに、スーツ着るとあんなに大人びて見えるなんて!)
研二  なぁ。
岩崎  な、何よ!?
研二  今日の岩崎、いつもと雰囲気違って可愛らしいな。(白いフリフリがなんか、クリオネみたいで。)
岩崎  ……。
研二  どうした?顔真っ赤だぞ?
岩崎  ふんっ!!!

●研二の溝落ちに的確なパンチが入る。

研二  ぐはっ
岩崎  バカなこと言ってないで、さっさと入るわよ!(な、な、な、何を言い出すのよ!あのバカは!か、可愛い?私が?そりゃ私クラスの少女となれば可愛いのは当たり前だけど!いきなり言われてビックリしちゃったじゃない!)
研二  ま、待って…(既に罰は始まっているのか…。)

●遊園地に入る二人。

研二  うおーーー!遊園地来るのいつぶりだろう?(おっといけない、今日はただの遊園地じゃないんだ!隣にはあの岩崎宏美がいるのだ!常に警戒しなければ。)
岩崎  なに?さっきからチラチラ見て。
研二  べ、別に何でもねーよ
岩崎  ……。(え?何何?これってもしかして、自分の歩くスピードを調整するため私の位置を気にしてくれているの!?だとしたら、めっちゃ優しいんだけど!)
研二  最初はどれに乗ればいいんだ?
岩崎  えーとね…まずは(今日の為にいろいろと調べてきたんだからね!)

※以下、岩崎が仕入れてきた遊園地の知識

人は同じ条件で右か左を迫られた場合、8割の確率で左を選ぶ傾向にある。その理由としては、無意識にやっていることは右脳にまかせていることが多い。左脳は右半身につながり、右脳が左半身につながっているからだ。また人間の体には右側に重い肝臓があり、バランスを取るため左に重心が移る習性があるといった様々な説があり、現に陸上のトラックなどでも左周りに設計されている。
遊園地の乗り物でもこの回り方の原理が仕様されており、例えばメリーゴーランドの様にゆったりと楽しむものは左回り。逆にジェットコースターやお化け屋敷といったスリルを味わうものは「違和感」を自然に与えるよう右回りになっていることが多いのだ。


岩崎  (フフフ…これだけ遊園地の構造を把握していれば、容易に相手の心理状態を操ることができるのよ!)
研二  あっ。俺、最初あれに乗りたいなー
岩崎  え?なに?
研二  観覧車。
岩崎  (いきなりかよー!!!!やっぱデートのこと何も分かってないな、コイツ…。)
研二  (この遊園地に来るのは初めてだからな。最初に観覧車に乗って全体像を把握したい…!)
岩崎  い、いいわね!じゃあ乗りましょうか!(そうだった、相手がこいつじゃ理屈も原理も通用しない!初っ端から計画が総崩れじゃないの!!…いや、待って。あの観覧車は幸いなことに右回り!よしっ!これは使える!こいつもどんだけバカでも多少はスリルを感じるはずよ!そして目の前にはこのフワフワな美少女の私。ドキドキせざるを得ないでしょ!)

●こうして二人は、観覧車へと向かうのであった。

研二  先に乗れよ。(そのまま一人で回ってくれ…!けど乗らなきゃ後が怖いよな)
岩崎  あ、当たり前でしょ!(ど、どどどういうこと?レディファーストってやつ?コイツがそんなことできるの!?はっ、もしかして私が乗り遅れないようにサポートしてくれるっていうの!?)
研二  岩崎、良い匂いするな。(さすがいいシャンプー使ってんだろうな。同じやつ母ちゃんにも勧めてみっか)
岩崎  何嗅いでんのよ!
研二  嗅いだわけじゃ
岩崎  私の後ろに立たないで!
研二  おう。(ゴルゴかよ)
岩崎  (びっくりした~…シャンプーに気を使ってて良かったわ。それにしても何?なんなのコイツ!まさか私の匂いを嗅ぎたいがために先に行かせたの!?いや待って、それじゃあコイツはただの変態だわ、きっと何か裏があるはずよ!ていうか私の香りに今気がついたの!?私がどれだけコイツの好みの香りを模索したか!)
研二  悪かったって、そんな黙るなよ。