旧説帝都エデン
「あ、そうそう。あの術は試作段階だから、明日になったら人間に戻れるわ」
そう言ってセーフィエルの気配は完全に消えた。
結局、何がなんだかわからない。セーフィエルは何がしたかったのだろうか?
マナは首を傾げながら、思いを巡らせたが、出た答えはこれだった。『昔から意味のわからない行動する女だった』。
止まっていた筈のアリスがぎこちない様子で柔軟体操をはじめ、しばらくしてからマナを抱きかかえる時雨の前まで来た。
「マスター、帰りましょう」
アリスは時雨からマナを取り上げて去って行った。
残された時雨は首を傾げて宇宙[ソラ]を見上げた。
「世の中ってわかんないなぁ」
ブラック・キャット 完
作品名:旧説帝都エデン 作家名:秋月あきら(秋月瑛)