小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

④全能神ゼウスの神

INDEX|12ページ/12ページ|

前のページ
 

(さすが、甘党!)

「じゃ、どっちも作ろうか。」

そう答えた瞬間、リカの顔がパッと輝く。

(か…可愛い!)

その表情があまりにも嬉しそうで、私の胸が甘くしめつけられた。

「パンが甘いので、飲み物はコーヒーね。」

「カフェラテ。ミルク多目で。」

(…。)

(なんで、こんなに可愛いの?)

あまりの可愛いさに顔が熱くなると、リカの頬と耳も真っ赤に染まる。

「可愛い言うな。」

怒ったように口をへの字に歪めぷいっと顔を逸らすけれど、それすら可愛くて私の頬はほころぶばかりだった。

その後、台所でリカの瞳が輝く中、お望みの朝食を作って部屋へ戻る。

二人で食卓を囲み、遅い朝食を摂ると、リカがとろけるような甘い笑顔で私を見た。

「うま♡」

「良かった!」

私が笑顔を返すと、カフェラテを一気に飲み干したリカが私の後頭部を引き寄せる。

「食後のデザートも。」

「あ!…じゃあバナナを…んっ。」

言いかけた時、唇が重なった。

リカは私の唇をペロッと舐めると、唇を少し浮かせて至近距離で見つめてくる。

「ん。うま。…もっと…。」

カフェラテの甘く香ばしい香りが交わり、リカの色香に頭の芯が甘く痺れた。

私がとろんと目を伏せると、すぐに深くリカの唇が重なる。

そして、バターと砂糖の味がする湿った熱がするりと入ってきて、私を甘く絡め取った。

そのまま、お互いの存在を確かめるように絡まり合う。

優しくゆっくりと愛撫し合うように深まる口づけに、互いに夢中になったその時。

パンッ!

ガラスが弾ける音がした。

そして頬にピリッとした刺激が走る。

「っつ!」

私が呻くと同時に、リカが素早く後ろをふり返った。

「!!」

ガタンッと杖が音を立てて倒れ、珠は既に割れている。

そして、その隣には…ヘラ様が立っていた。

「ヘラ…!」

リカが呼ぶと、ヘラ様は妖艶に微笑む。

けれど、なんだか様子が変だ。

リカも何か感じ取ったのか、私を背に庇いながらヘラ様をジッと見つめる。

何も言わず、背筋がふるえるほど冷ややかな碧眼で、ヘラ様もこちらを見つめた。

(つづく)
作品名:④全能神ゼウスの神 作家名:しずか