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古代湖の底から

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みなさまへ

 あの宇宙への旅立ちの日から2年の歳月が流れました。
 私はイッチョカミ星で、私どもの親戚に娘の結婚の報告をさせてもらいました。
 それからヨロシオマッ星を訪ね、冷凍DNAから生き返られた坊やのご両親に、ご挨拶させてもらいました。
 そしてお目出度いことって続くものなのですね。

 アンチーヤンさんとアーネゴさんですが、トントン拍子に縁談が進み、半年後に祝言を挙げられました。
 そんなこともあったりで、ヨロシオマッ星では随分とお世話になり、1年の楽しい長居となってしまいました。

 それでもやっぱり京都が恋しくなり、そこでキャプテンのコーワイさんに頼んだわけです。
 愛犬のナポレオンと一緒に、この青い地球に帰りたいと。
 するとコーワイさんがえらく気を遣ってくださいまして、時空貫通円盤機を自ら操縦し、送ってくださったのです。
 だけど先々のことって、ホント予測不可能ですね。
 お礼にと、ちょっと京料理でおもてなしさせてもらいましたところ、そのまま我が家に居着かれまして……。
いわゆる居候に。
 それが今では格上げさせてもらって、ダンナです。

 私はミステリー作家ですが、結局この再婚で、遅咲きのエイリアン妻となったわけです。
 その上、坊やと哀歌のところに孫娘の魔鈴(まりん)を授かり、私はグランマになりました。
 まあ言ってみれば、古代湖の底から多くの宝物を掘り当てたようなものですね。

 事実は小説よりも奇なり。
 これらの幸運の記念にと、ノンフィクション小説『古代湖の底から』をここに執筆させてもらいました。
 本ノーベル、もし楽しんで読んでいただけたのなら、まことに光栄でございます。
 ありがとうございました。

                    著者 : 伊調神恋慕


作品名:古代湖の底から 作家名:鮎風 遊