古代湖の底から
◇
みなさまへ
あの宇宙への旅立ちの日から2年の歳月が流れました。
私はイッチョカミ星で、私どもの親戚に娘の結婚の報告をさせてもらいました。
それからヨロシオマッ星を訪ね、冷凍DNAから生き返られた坊やのご両親に、ご挨拶させてもらいました。
そしてお目出度いことって続くものなのですね。
アンチーヤンさんとアーネゴさんですが、トントン拍子に縁談が進み、半年後に祝言を挙げられました。
そんなこともあったりで、ヨロシオマッ星では随分とお世話になり、1年の楽しい長居となってしまいました。
それでもやっぱり京都が恋しくなり、そこでキャプテンのコーワイさんに頼んだわけです。
愛犬のナポレオンと一緒に、この青い地球に帰りたいと。
するとコーワイさんがえらく気を遣ってくださいまして、時空貫通円盤機を自ら操縦し、送ってくださったのです。
だけど先々のことって、ホント予測不可能ですね。
お礼にと、ちょっと京料理でおもてなしさせてもらいましたところ、そのまま我が家に居着かれまして……。
いわゆる居候に。
それが今では格上げさせてもらって、ダンナです。
私はミステリー作家ですが、結局この再婚で、遅咲きのエイリアン妻となったわけです。
その上、坊やと哀歌のところに孫娘の魔鈴(まりん)を授かり、私はグランマになりました。
まあ言ってみれば、古代湖の底から多くの宝物を掘り当てたようなものですね。
事実は小説よりも奇なり。
これらの幸運の記念にと、ノンフィクション小説『古代湖の底から』をここに執筆させてもらいました。
本ノーベル、もし楽しんで読んでいただけたのなら、まことに光栄でございます。
ありがとうございました。
著者 : 伊調神恋慕