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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第七話

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「エイブラハムは私が成し遂げようとしている研究のスポンサーだ。そしてそれはかの国の国家的事業として国王が認め、出資されている。このような形で破棄されるようなことになったらユダヤ人組織のネットワークで必ずや報復されるだろう。アメリカは最大のユダヤ人国家だから特にだ」

「なるほど。そういう理屈か。軍をも動かすという話だな。本当なら実に厄介だ。裁判も困るが、報復攻撃も困る。どうしたものかな・・・」

男はある人物に電話を掛けた。
話し終えると戻ってきて、苦笑いをしながら内藤を椅子に縛り付けていたロープを解いた。

「すまなかったな、縛り付けて。これからは対等に話し合いたい」

「保証があるのか?」

「もちろんだ。ここがどこなのか言おう。驚くな、アメリカ大使館だ」

「ウソだろう?」

「じゃあ外を見てみろ」

内藤はつれて行かれた部屋から外を見た。間違いはなかった。国旗が見えたからだ。

「訳が分からない。説明してくれ」

「あの事故は演習中のアメリカ軍が誤射したとお前たちは見抜いた。そして、厚木基地に緊急着陸を要請してきたことを米軍は断った。理由はご存じの通りだ。アメリカ軍にとってもう一つ都合が悪いことがあった。飛行機に搭乗していた枇々木浩介はある機密を持参して、神戸にあるイスラエル領事館へ向かおうとしていたのだ。その機密はアメリカとイスラエル、そしてアラブ諸国を混乱させる重大な秘密だったのだ」

「まて、ひょっとして最初から訓練にかこつけて事故を装い撃墜させる手はずだったのか?」

「そういうことになるな。日本にとって大きな損失となった事故であったが、もし枇々木が神戸についていたら、日本じゃない場所で甚大な被害が出ていたであろう」

「バカな!そういうことが許されるはずがない。お前は日本人だろう?恥ずかしくないのか」

「おれたちは上の命令で動いている、とある組織の人間だ。軍隊と同じで命令は絶対だ。しかし、お前に情けをかけようと判断したことは同じ日本人として言い分も解るからだ。もうすぐ50年を迎えようとする事故のことをいまさら掘り返すな。十分な補償も遺族にはしてきた。ここで再び国を巻き込むような騒動を起こすことは賢明ではない。お前はそう思わないのか?」

内藤はこの事故の真相の根の深さをしみじみと感じていた。