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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第七話

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梓とエイブラハムが無事離陸したことを見届けた内藤は、その足でタクシー乗り場へ向かった。
ほんのわずかに人混みが途切れた瞬間、数人の男たちに囲まれそのまま拉致された。
この日に備えてずっと見張っていたのだ。ある程度予測はしていたものの、それを上回る手際の良さでやられてしまった。

ここまで大掛かりにされると、もやはどのように注意していても大使館に居る以外は危険だと知った。
意識を失ってからどれぐらいたっただろう、目の前に座っている年配の男に声をかけられた。

「内藤さん、悪かったね。お目覚めかな?」

「お前は・・・誰だ?なぜこんなことをするんだ」

「それはご存知の事でしょう。率直に言ってあなた抜きで裁判は行われることが無いから、こうして来て頂いたのですよ」

「おれが居なくても遺族の会は提訴するぞ」

「これまで何度提訴してきましたか?今回も取り上げてはもらえませんよ」

「訴状はすでに書いてある人に預けてある。それを添付して告発すれば無視は出来ないだろう。こんなこともあろうかとあらかじめ準備はしていたのだ」

「ほう、それは手際のよいことで。ではそれが誰なのか教えていただきましょうか」

「言うと思って聞いているのか?」

「もちろんです。我々の組織は世界中で網の目を張っています。たとえワシントンであっても爆破できますよ。それを弁えてお答えなさるように」

「ふん、脅しか。だったらそのお手並み拝見するとするかな」

「バカなことを、大切な人を死なせてまでも守る程度の事なのか、事故の真実など。すでに風化していることだし、今更誰が助かるわけでもないだろう?違うのか」

「大切な人とは梓のことを言うか?」

「そうだ。我々は彼女がどこに住んで、誰と居るのか知っている。実行犯は命知らずのイスラム教徒だ。何をするかわかるだろう?」

「彼女と私は一心同体だ。梓が死んだら私も死ぬ。その覚悟で臨んでいるのだ。たとえ裁判が行われなくなっても、二人の死についてマスコミは調べるだろう。エイブラハムの本国に居る彼の忠実な部下が、お前たちのことを探し出し天罰を与えると覚えておけ」

「お前がそこまで自信たっぷりに思う根拠は何だ?この期に及んでの威勢か?」