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オオサカタロウ
オオサカタロウ
novelistID. 20912
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Hellhounds

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 赤城はにこりともせずに、ランドクルーザーのエンジンをかけた。黒島が補うように、後ろを振り返って言った。
「こいつはな、女に手を上げる系は、映画とか本でもダメなんだ。あんた、そういうコレクションがあるなら、今の内に言っとけよ」
 ランドクルーザーが走り去るのを確認した姫浦は、神崎がセフィーロのエンジンをかけるのを見て、近寄った。神崎は後部座席のドアを開けながら言った。
「ありがとう。助かったよ」
 乗り込むときに支えようとすると、姫浦はそれを嫌がるように巧みに避けて自分で乗り込み、ドアを閉めた。神崎が運転席に座ると、言った。
「医者のところへ帰ります」
「家みたいに言うなよ」
 神崎には見えないように俯くと、姫浦は笑った。
  
 堂島の口に貼られたテープをはがして、足のロープを切り、手錠の鍵を監禁部屋から持ってきた駒井は、片足立ちに疲れ切ったように一度座ると、堂島の両手を持ち上げて、鍵を開けた。手錠が騒々しい音を立てて床に落ち、堂島は痣だらけになった腕を下ろすことなく、そのまま駒井の頬に触れた。
「ごめんなさい」
 駒井は首を横に振った。
「こっちこそ、ごめん。大丈夫だよ」
「ほんとかな……」
 堂島は駒井から離れ、自由になった体で抽斗を次々に開けて、言った。
「救急箱はないの?」
「二つ目の棚だよ。手、大丈夫か?」
「わたしじゃないってば」
 堂島は脱脂綿に消毒液をふりかけて、顔の傷に当てた。血はすぐには止まる気配もなく、駒井は消毒液が染みる痛みに耐えながら、言った。
「ありがとう、病院に行くよ」
 立ち上がり、片足でバランスを取る。堂島はすぐ横に立って、肩を貸した。一歩を踏み出したとき、駒井は堂島の体に手を回すと、ひょいと持ち上げた。一瞬足が浮いて、二人は顔を見合わせて笑った。
作品名:Hellhounds 作家名:オオサカタロウ