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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第三話

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「内藤さんはそんなことばかり言っているから縁が来ないんだよ。それに身体も大切にしないと研究を完成させる前に倒れてしまうと心配になるよ」

「エイブラハムさん、何かと内藤さんを助けてあげてください。私が傍に居るといいのですけど・・・あら?何か変なこと言いました?やだ~恥ずかしい」

梓はついつい思っていることを口に出してしまった。
内藤が複雑な表情を見せるとエイブラハムは大きく笑って梓に話した。

「真面目なお話です。お店を辞めて大阪に来てくれませんか?すべて私がお世話をさせて頂きます。内藤さんの傍に居てあげて欲しいのです」

梓にとってそれは願ってもない話だったのだが、内藤本人がどう思っているかが心配だった。

「エイブラハムさん、いま梓さんに言ったことはどういう意味なんだ?」

「内藤さん、梓さんはあなたの傍に居ることを望んでおられますよ。叶えてあげられたらいかがですか?生活の費用は形式上私の秘書とかにして雇用すれば不自由はないと思います」

梓はエイブラハムが何故お金を出してまで自分の世話をしようと言い出したのか分からなかった。内藤は父親が事故現場に居合わせた縁があるので、息子として憐みをかけてくれるというのなら話が分かる。

「エイブラハムさま、お気持ちは光栄ですが、大阪に来るとしても自分で仕事を見つけて、内藤さんのお手伝いをしたいと思います。この世界に長く居るので伝手は関西にもあるんです。それにわたくしが夜のお仕事をしていた方が何かと都合が良かったりするのではありませんか?」

エイブラハムは梓がなかなか聡明であると見抜いた。自分の本心を悟られないように言葉を繋ぐ。

「そうでしたか。お見逸れしました。では大阪に来て頂けるということで良かったですね?」

「内藤さんのお手伝いをさせて頂くことは願ってもないことです。ご迷惑にならないように近くで住まいを見つけますのでこちらこそよろしくお願いします」

内藤はうつむいていたが、梓の顔をじっと見て、それでいいのか?と聞き直した。
ハイと返事をした梓に向かって、無理はしなくてもいい、ここに住まわせてもらえば安心だし食事の用意もしなくて済む、とエイブラハムに頼んだ。

「もちろんです。そうして戴けるのなら大歓迎です」

引っ越しを済ませて梓がエイブラハム家の二階に自分の部屋を与えられて入居したことで、毎週末は宴会のような夕食会になっていた。
自分の今の立場が嘘のように幸せに感じられて、何の疑問も感じなくなっていたことが大きな事件を引き起こす。