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忘れたの?

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目の前には、ヴァージンロード。

 緊張している私は、隣のお父さんの腕に縋り付く様に歩きます。

 進む先には、彼が微笑んで立っていました。

 祭壇の手前で、立ち止まる私とお父さん。

 一歩踏み出した彼が、手を差し出します。

 お父さんがその手を固く握り、交わさる握手。

 今にも泣き出しそうなお父さんの横から、私はゆっくりと 彼の隣に移動しました。

 腕を絡めながら、感極まって囁きます。

「幸せ過ぎて…夢みたい」

「─ これは、君が見ている夢だよ」

「え…?」

「お父さんも僕も…君がバラバラにした事、忘れたの?」

作品名:忘れたの? 作家名:紀之介