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錆の雨

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 窓を見つめる一つの目は空中に浮かぶようにそこにある。体は消え、残ったのは一つの眼球とそれに付随する神経など、僅かであった。永遠に続くと思われる時間はどういうわけかこういう不思議な終わり方を迎える。
 かろうじて残った瞼を閉じることができない。その一瞬で永遠が逃げてしまうような気がし、その一瞬が大きな意味を持っていると信じたからだ。最期の最期で瞼を閉じる一瞬さえ愛おしく思う、そんな惨めな人間が確に電車に座っていた。
作品名:錆の雨 作家名:晴(ハル)