赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 71話~最終話
「帰ってきたら、酒蔵の10代目を継ぐのですか?」
「あんただって、有名な芸妓の2代目を継ぐんだろう?」
「2代目を継ぐ?。わたしが?・・・」
「小春さんから聞いたよ。
あんたは、6人も弟子を育てた春奴母さんの2代目になるそうだ」
「わたしが春奴母さんの2代目になる!・・・ホントですか!」
「春奴母さんは、その気でいるらしい。
もっとも、瓢箪から駒が出るかどうかはあんた次第だけどね。
でもさ。あんたの懐に奇跡を呼ぶ三毛猫のたまが居る限り、成就しそうだね。
なんとなくだけど、わたしも、そんな気がしてきた」
わたしが居ない間、清子のことは頼んだよと、恭子がたまの頭をなでる。
「エヘン。そうさ。おいらは奇跡を呼ぶ三毛猫だぜ。
いたずら小僧がおいらを拉致したおかげで、芸者修業を始めた清子の胸という、
居心地のいい場所へたどり着いた。
2度と出るものか。いいにおいのする、清子のペチャパイの胸から!』
イヒヒとたまが、目を細めて笑う。
(完)
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 71話~最終話 作家名:落合順平