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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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新連載!「熟女アンドロイドの恋」 プロローグ

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医学の進歩はある大きな転機を迎えようとしていた。
それは神の領域を犯す畏れ多いことだとの反対を克服する戦いでもあった。

一人の科学者で医師でもある男がついに悪魔に魂を売った。
自らの欲望を叶えるために裏金を提供する組織と組んだのだ。

1985年夏に起こった飛行機墜落事故で奇跡的に助かった子供がいた。
彼女は同乗していた両親と弟を同時に亡くしていた。
精神的に安定してからも学校に行けず、引きこもりを続けていたが、やがて世話をしていた叔母夫婦が亡くなると否が応にも独り立ちしないといけなくなり、夜の世界へと踏み出していった。

不幸のどん底にあった彼女を救ったものは親から与えられたその容姿と健康だった。
転々として流れ着いた先に銀座の高級クラブ「魔王」があった。
そこではいわゆる裏社会で金を稼いでいる仮面紳士たちが情報交換と癒しを求めて来店し、お店は日々賑わっていた。

浮名を梓としていた飛行機事故生き残り女性は間もなく50歳を迎えようとしていた。ナンバーワンの人気者だった彼女はその日誕生祝に駆け付けた多くの男性たちに囲まれていた。

「梓、誕生日おめでとう!」

その一声で始まった誕生パーティーは延々と長く続いていた。
かわるがわるに傍に来てお祝いを言われ、高価なプレゼントを贈られていた梓は一人の男性に目を止めていた。

スーツ姿ではなかった年の頃なら70歳ぐらいを過ぎた年齢だろうか、長い白髪を後ろで縛っていかにも芸能人か作家のような印象を与えていた。
ここに通っている男性は普通に稼いでいるサラリーマンでは支払えない高額な飲み代を払い、一切の領収書が貰えない、そしてカード払いが出来ない状況を受け入れているから、この紳士も裏稼業なのだろうが、梓には興味が湧いていた。

「今日はお祝いをありがとうございました。先生は初めてお会いすると思うのですが、間違っていたらゴメンなさいね。よろしかったらお名前教えて頂けませんか?」

「きみのうわさを聞いてやって来たんだよ。とても美しい、そして魅力的だ」

「ありがとうございます。お恥ずかしいですわ」

「私は医師で内藤という。信じられないだろうがある研究に没頭していてこんなに老けてしまったが、実際にはまだ40代なんだよ」

「ええ~そうだったのですか。お医者様でしたの。内藤さまがどんな研究をされていたのか興味がありますわ」