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頑張ったんだよ!?

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いつもの公園のいつもの時計塔の横。

 待ち合わせ相手は、当然の様にそこに立っていました。

 スマホの電源を入れ忘れ、1時間以上遅刻。

 後ろめたい私は、後ろから回り込みます。

「お、お待たせぇ…」

 覚悟を決めた一言に、宏和は反応しました。

「岡田琴音さん」

 フルネームで呼ばれ、私の頭に中で アラームが鳴り響きます。

 宏和は かなり怒っている様です。

 何とか誤魔化せないかと、私は茶化します。

「ヒ、ヒロの怒った顔が見たかったから、遅れて来ちゃった♡」

「…満足した?」

 笑ってない目で、口を緩める宏和。

 茶化せないと悟った私は、本当の理由を白状します。

「ふ、服に悩んでたら…家を出るのが遅れちゃってぇ」

「…何で、前の日に準備しておかないの?」

「昨日の夜に、き、決めてはいたんだよ。」

 私に突然、スイッチが入りました。

「でも、実際に着て、鏡で確認したら…何か違って!」

 状況も忘れて、何故か始める自己主張。

「デートで、ヒロに可愛い私を見てもらおうと、頑張ったんだよ!?」

 熱くなった私の目を、宏和が覗き込みます。

「琴ちゃん…」

「何!?」

「真っ先に…僕に言わないといけない事が、あると思うんだけど」

 一気にクールダウンする私。

 唇を噛み締めながら、声を絞り出します。

「─ ち、遅刻して…ごめんなさい」

「はい、良く言えました。」

作品名:頑張ったんだよ!? 作家名:紀之介