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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 悪魔の契約」 第二話

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男の呪文に合わせるかのように周りの空間は真夏の日差しがなくなり、肌にヒヤリとする風が吹いている。
みるみるその男の身体はますます筋肉質になり、下半身には天を向いた逞しい男根が宿っていた。

「どうだ、変身したぞ」

「まさか・・・信じられない」

「ウソではないぞ。試してみるか?」

「試す?何を?」

「お前を女にしてやろう。予行演習だと思えばいい」

「やめておくわ。悪い予感がする。解ったから手順を教えて」

まだにわかには信じられなかった志奈ではあったが、死を決意している自分には何も恐れるようなことは無いと割り切った考えが出来るようになっていた。
悪魔の使いだと言った男はその後普通の男性に姿を戻し、青木ヶ原樹海から志奈を連れ出して指定したホテルへ案内した。

「予約は相手の名前でしてある。お前が部屋にいることは内緒のことだ。今から男に連絡を取るから、シャワーを浴びて体をきれいにして待っていろ。大切な場所は入念に洗えよ」

「何と言って来させるの?あなたが電話をすれば来ないんじゃないの?」

「取引をすると言うのだ。私はお金で解決するという。向こうは見返りにお前を抱く。それ以上のことは知る必要はない」

「何か複雑なことがあるのね。聞かなくてもいいけど、絶対に成功するのよね?」

「ああ、絶対だ。これをアイスコーヒーに混ぜて飲ませろ。ロビーの自販機で買って部屋に行け。これがドアーキーだ」

手渡されたカードキーを持って指定の部屋に志奈は缶コーヒーを買って入った。
聞かされたようにシャワーを浴びて、冷房の効いた部屋でテレビを観ながら相手を待っていた。
自分がどんなことになるのか未知数ではあったが、悪魔の契約は実行されようとしていた。

ドアーベルが鳴る。
扉を開けた。
目の前に一人の男性が立っていた。

「志奈さんだね?入るよ」

歳の頃なら40代ぐらいであろうか、なかなかのイケメンだった。

「はい、志奈です」

「あいつが言っていたことは嘘ではなかったな。とても美人だよ。すぐにお願いしたいけど、シャワーを浴びてくるからベッドで待っていてくれ」

「はい、コーヒーを置いておくので出て来たら飲んでください」

「ほう、気が利くなあ~。じゃあそうさせてもらうよ」

バスルームからシャワーの音が聞こえたことを確認して、志奈はガラスコップに冷えたコーヒーを注ぎその中に男から貰った粉を混ぜた。
コーヒーにしろと言ったのは味をごまかせるからだろう、そう感じた。

「お待たせ。冷たいコーヒー飲ませてもらうよ。喉が何故だか乾くんだよな」

そう言うと一気に全部のコーヒーを飲みほした。
それを見て志奈は事を成就できたと感じた。