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てっしゅう
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「サスペンス劇場 京都の恋」 第二話

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「ハハハ~真面目なのね、可笑しい」

「笑わないでよ。真面目に言ってるんやから」

「ねえ?大阪に行ったらまた会ってくれる?」

「ほんまですか?絶対に会います。学校も休みます」

「大げさね、休んでまではダメよ。夏休みぐらいなら普通の日でも大丈夫よね?」

「夏休みですか・・・まだ先ですね」

「そう、あっという間に来るわよ」

「ボクが東京に行くと言ったらおうてくれますか?」

「尚樹君が東京に?用事でも出来たの?」

「そういうわけでもないんやけど、GWに両親が出かけるから家に居ても暇やって思うから、おじいちゃんにお金もろうて東京へ行きたいって思うたんです」

「そういうことね。でも新幹線代が高いから、無理はしないで。時々電話してお話ししましょう。会いたくないというわけじゃないのよ、分かってね」

「うん、そうやね。また電話します」

淋しそうな声でまた電話しますと言った尚樹に美代子は切ない思いを感じた。
高校生に無理をさせてはいけないとの思いが強くあったが、会いたいとの思いも心の中に少しは芽生えていた。
京都の彼が死んで、誰とも交際することが出来なかった自分をひょっとして尚樹は変えてくれるかもしれないと、7歳も年下の男性のことを真面目に思う自分がいた。

尚樹には待ちに待った夏休みがやって来た。
いつ電話が掛かってくるだろうかとそわそわしている。
母親が、「なんかあるんか?」って尋ねるぐらいに電話を気にしていた。

八月になっても掛かってこない。お盆を過ぎるとさすがに気が気でなくなって、尚樹は電話をした。
呼び出し音がするけど出ない。
次の日の朝も、昼も、夜も出ない。

残り夏休みも一週間になったころ、祖父に訳を話してお金を出してもらい、新大阪駅からひかり号に乗り込んで、尚樹は東京へ向かった。
母親には学校の友達が母親の帰省で東京に居るので会いにゆくと嘘をついた。

東京駅に新幹線はついた。
改札を出てすぐに公衆電話から美代子に掛けた。

「もしもし・・・美代子さん、尚樹です」

「尚樹君・・・ゴメンね、電話しなくて・・・」

「ぼく、東京へ来ました。今新幹線を降りたところ」

「ええ?ほんとうなの」

「ほんまです。どうしたらいいのか迷ってます」

「私が電話に出なかったらどうするつもりだったの?」

「はい、つながるまで掛けるつもりでした」

電話の向こう側で美代子は泣いているのではないかと尚樹は感じた。