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てっしゅう
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「サスペンス劇場 京都の恋」 第二話

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清水寺から少し歩いて丸山公園の中にある平野屋でいもぼうを食べた。京都の里いもを鱈と一緒に煮付けた逸品だ。

「尚樹君はよくこういうところを若いのに知っているんだね。感心したわ」

「おじいちゃんが教えてくれたんだよ。元々京都出身やったから」

「そうだったの。実はね私も京都に住んでいたことがあったの」

「ええ~そうなんや。ひょっとして京女?」

「うん、そう」

「だから・・・美人なんや」

「ありがとう。関係ないとは思うけど、女らしさは身に着いたかもしれない」

「きっと素敵な人が見つかりますよ。さっきお祈りもしたし」

「そうね、あなたみたいな優しい人が好きなの」

「美代子さん・・・ボク・・・」

「なに?」

「いや、ええんです。頑張って彼女見つけようっと。京女がええけど、高望みやし離れているとなかなか会えないから難しいって思う」

「そうね、会いたい時に会えないのは辛いわね。さてと、明日は仕事だし、遅くならないうちに帰りたいから、出ようか」

「京都駅まで送るわ。ええやろ?」

「うん、お願いするわ」

尚樹は美代子の電話番号を聞いて、自分の電話番号を教えて京都駅で別れた。
東京へ戻る新幹線の中で窓の外をボーっと見ながら美代子は思い出していた。

京大生だった彼は交際して一年ほど経ったときに突然白血病に見舞われ、美代子の願いも空しくこの世を去った。若干21歳。
悲しみに暮れる美代子は東京へ帰る決心をした。このまま彼の思い出を引きずりながら暮らすことが辛かったのだ。

毎年命日にあたる今日この日に京都を訪ねて五年が過ぎていた。
尚樹に出会ったことは偶然だとは思えなかった。
美代子にとって思い出の彼は「尚樹」だったからだ。

命日に来るのは今年で最後にしようと考えていたときに偶然出会った再びの尚樹に、自分の心が動き始めている。
高校生であるがゆえの純真さと、真っ直ぐな目。あの時の尚樹と同じ雰囲気を感じさせてくれたことに今は感謝だ。

一週間ほどが過ぎた土曜日の夜に電話が鳴った。
それは大阪の尚樹からだった。

「尚樹です。先日はごちそうさまでした。お変わりないかなあ~と思って電話しました」

「あら、尚樹君。こちらこそ、嬉しかったわ。わたしは相変わらずだけど、あなたとのことを思い出したりするのよ。楽しかったから」

「ボクもです。美代子さんのことが忘れられません」

「まあ、そんなこと言って、困らせないでね」

「困るんですか?」