愛して欲しいと言えたなら
メル友・・・その5
「そんなわけないでしょ?」
「あら?どうしてよ」
「どうしてって言われても、もしそうだったら思わず考え込んでしまうわよ」
「考え込む?どうしてよ?嬉しくないの?」
「嬉しくないの?って言われても、だって普通は男の人は男の人でしょ?」
「何それ?」
「だから、小さい頃から男だった人って普通はそのまま男のままじゃないの?」
「あら?あたしは普通車じゃないっていうわけ?」
「そうよ、まるで普通車が飛行機になったみたいじゃない?」
「ま~それもそうよね、昔、付き合ってた彼氏が気が付いたら女になってたなんてね」
「でしょ?」
「きゃはは!確かにそりゃショックだわね」
「ショックっていうよりも、どうしても想像が出来ないっていうかなんていうか・・・」
「ん?どうして?」
「だって、付き合ってた頃はそれなりに不良やってたし怖かったし、それがいつの間にかオカマになってたなんて想像出来ると思う?」
「だから、オカマじゃなくて女性化だって言ってるでしょ?」
「なによ、さっき自分でオカマだって言ってたじゃないのよ」
「それは田舎じゃオカマとニューハーフと女装家と女性化の区別がつかないからよ!」
「でも、女性化って、下着とかはどうなの?」
「全部、女性用の下着に決まってるじゃない」
「洋服もでしょ?」
「そうそう、男物なんて一枚だってないわよ」
「でも、下はスカートじゃなくてパンツよね?」
「おぱんちゅ?スカートの中にちゃんとおぱんちゅ履いてるわよ」
「そうじゃなくて、ズボンの事よ、ズボンの事をパンツって言うのよ」
「きゃはは!知ってるわよ、んな事、あたしパンツも一枚も持ってないわよ」
「ウソ?それじゃずっとスカートだけなの?」
「そうよ、ホントはワイドパンツとか透けタイプのガウチョパンツとか欲しいんだけどなかなか気に入ったのがなくてね」
「それじゃコスプレとかじゃなくて普通に女性の恰好で生活してるって事なの?」
「そうよ、あんたの昔の彼氏は今は女性物のお洋服着てランラン生活送ってるのよ~ん!」
「いや、それ想像出来ないから・・・」
「でも、もしあたしがあんたの昔の500円玉の彼氏だったらどうすんの?」
「他の男は別にどうでもいいけど、彼だったらどうするのって言われてもある意味困るわ・・・」
「他の男はどうでもいい?ある意味?困る?何でよ?」
「あ~ん・・・また寝取られちゃうのかな~って思うから・・・」
作品名:愛して欲しいと言えたなら 作家名:猫の雪遊び