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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 因果応報」 第三話

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エレクトーン講師として演奏活動していた木下の妻は、やや派手な見た目だったが、家の中のことはきちんとやってくれていた。
子供が出来て、父親として、そして社長として木下は落ち着いた生活をするように変わった。

昭和50年3月、勤めていたハンバーガーショップが閉鎖することになり、平林は音楽関係の会社へ就職した。
そのことを知った典子はどうしたら連絡が取れるのか教えて欲しいと聞いた。
このときから閉ざされていた平林の心は少し典子に対して開くようになってゆく。

夏になって、昔みんなで来た若狭の海へ平林は新しく買った車で典子と二人で来ていた。
帰り道家まで送ると言った平林に対して、あなたのアパートに行きたいと典子は返事した。
それがどういう意味であるか分からないわけではなかったが、知子とのセックスで自信を無くしていた平林には複雑な思いが感じられた。

「典子は美人だからボクは自信がないよ。先輩と比べられるのが辛いって思うんだよ。弱気だけど。だから、友達でいたい」

「平林くんは初めて会った時から優しい人だって感じていたの。木下さんは確かに男っぽいけど、私には心から信じられなかったから、いつかはダメになるとそういつも感じてた。私は比べたりなんかしないよ。今のあなたが好き。友達でいいなんて悲しいこと言わないでよ」

典子はそう言うと泣き出した。
平林にとってそれは意外なことだったので戸惑った。

男は女の涙に騙される、いや、ほだされる。

「典子、本当にボクなんかで良いのか?満足させてあげられないかも知れないけど」

「満足させるって、どういう意味?」

「ええ?どういう意味って・・・早漏なんだよ、恥ずかしいけど」

「バカ!そんなこと気にしてただなんて。抱かれたいから好きって言った訳じゃないよ。知子ちゃんはそのことであなたを責めたの?ひょっとして」

「責めたっていうわけじゃないけど、先輩に誘われて身体を許したのはボクが満足させなかったからだって言われたよ」

平林は今にも泣きそうな顔をしていた。