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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 因果応報」 第三話

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典子は平林から誘って欲しかったのだろうか。口調は未練がましくなっていた。

そんなことがあってから知子は平林の誘いを時々断ることが続いた。今まで都合が悪い時は理由を話してくれていたのが、家の用事だとしか言わなくもなっていた。
以前訪ねてきた典子から聞いたことをこの際問いただしてみようと勇気を出した。

「ねえ、知子。ちょっと前に店に典子ちゃんが来て話してくれたことがあるんだよ」

「ええ?典子さんがあなたに?」

「そう。なんでも先輩が浮気をしているらしいって悩んでいた」

「ふ~ん、木下さんってカッコいいからそういう不安がつき惑うわね。それでどうなったの?」

「浮気相手のことに覚えない?」

「どういうこと?それって私を疑っているの」

「先輩と二人で会っていることも典子ちゃんは教えてくれたよ」

「なあ~んだ、喋っちゃたのか・・・木下さんは典子さんが浮気をしているって言ったから、相手があなただって思ったわ。あなたのことは信じていたけど、典子さんの方が好きになっていたみたいだから、そのうち誘惑に負けるんだろうなあ~って考えちゃった」

「何を言っているんだよ!ボクが今まで知子以外に色目を使ったりしたことがあったか?誰とも付き合ったことが無いと嘘を言ったことも許したし、先輩と二人で会ったこともそれだけだと信じてきたのに、酷いじゃないか」

「あなたは優しいだけ・・・私の事女として満足させてくれていないじゃないの!そういうこと言えないから悩んでいたのに気付こうともしないで。木下さんは浮気っぽいけど男らしいよ。今の私はそういうことが欲しいの」

「なるほど結婚するというわけじゃないし、気持ちより身体なんだな」

「酷い言い方ね・・・あなたは満足出来ているのに、私は満足しなくてもそれは当たり前の事なの?女は男に従えばいいっていう考え方?」

「そこまでは言ってないよ。ボクだって努力しようと思っているけど、直ぐに治せないだけだよ」

「すぐにってもう一年過ぎたのよ。こんなの何年待っても同じよ。こんな話しないで別れようって思っていたけど、言っちゃったわね。あなたのこと好きになったことは本当よ。私は木下さんと付き合っているけど、そのうち別れてしまうと思う。それでも今はいいの。あなたも典子さんと仲良くしたら?彼女あなたのこと好きだよ」

女とは身体を満足させないと浮気をするのか。平林は女性と付き合うことに劣等感を抱いた。典子がたとえ好きと言ってくれても、また同じような羽目になってしまうと今は一人が良いと考えていた。

知子は木下とやはりすぐに別れてしまった。きっと木下が飽きたのだろう。仕事先で知り合った上司の男性と数年後に結婚した。
父親が経営している自動車部品工場のあとを継いだ木下は、若い社長としてもてはやされ、取引先の令嬢順子といわば仕事関係を密接にするための結婚をした。