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新・覇王伝_蒼剣の舞い【第2話】

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 ___キンっ。
 火花を散らしぶつかるお互いの剣に力をこめ、清雅と義勝の戦いは始まった。
          ※※※※※※※※※※
 蒼国・王都では、何も知らない朱雀の焔がいつもようにフラフラと王城に清雅を求めてやってきていた。
 当然会えるわけがなく、出て行こうとした時に前からやってくる二組を見咎め、嬉しそうに顔を綻ばせた。
 「タクちゃんっ♪」
 「…朱雀さま」
 いつも間にか『タクちゃん』と呼ばれている事に、拓海はげんなりとした。
 「酷いよ、タクちゃん。この僕を避けるだろう」
 「そんな事ないですよ」
 「___タクちゃんさぁ、顔に直ぐでるしィ」
 返す言葉がない。昔から、何人かに云われたことがある。
 「ま、いいけど。玄武さま、セイちゃんの所に行くつもりなら連れて行ってくださいよ」
 「いらっしゃらないのか?」
 「いつものアレですよ、また。放浪癖は、直らないね」
 「何処に行かれたのだ?」
 「まさか、知らないんですか?牙の村だそうですよ」
 「な…に…」
 「父上?」
 それは、拓海が初めて見る父・狼靖の表情であった。
 「牙の村は___、清雅さまが生まれ育った所だ」
 15年前、狼靖が駆けつけた時、牙の村は変わり果てていた。
 数日前に訪ねた美しく平和な村は、炎に包まれ、妹・桜の亡骸と対面した。
 「朱雀、牙の村へ行くぞ」
 「了解っ♪」
 「僕も行きます」
 「拓海」
 「お願いします」
 狼靖は、深く頷いた。

 清雅は、牙の村の、ごく普通の平民の子として育っていた。
 母、桜・リョウ・リンと二人で静かに暮らしていた。まさか、ウォン覇王家の血を引いているなど知る由もなく、過酷な運命が訪れようとは未だ。
 そんな幼い清雅には、気になるものがあった。
 母・桜が大切にしている一振りの剣。
 ごく普通の平民の家には不釣り合いな、必要のないもの。
 後に、それが清雅の運命を変えるとは思う由もなく。
 「これはね、貴方のお父さんから託されたものなの」
 桜は、そういっていつも愛しそうに抱きしめるのだ。黄金の柄と鞘、見事な龍の細工を施した龍王剣と呼ばれる剣。
 いったい、その父は何処の誰なのか。
 「確か、叔父さんがいるんだよね」
 同じ平民だと云うその叔父は、平民でありながら剣士となり、玄武と云う剣士最高の地位に上ったと聞かされた。