貝殻拾い
その差が心を軽くしたのか、私は小瓶を逆さにし、砂のようなものを海にばらまいた。風に吹かれ。すべては海に着水せず、どこかに飛んで行った。海に着水した砂のようなものは、波に打ち付けられ、コンクリートと波に挟まれてすりつぶされる。今よりももっと細かく、もっと薄くなって、引き波と共に、海岸線へと流される。ほんの数秒で砂のようなものは見えなくなり、あの匂いもどこかに消えた。
多くは求めない
そういいながら大きな海を漂う
砂は一粒を小さくさせ続け
やがて細胞一つ分にまでなった
気ままな波によって
集められた砂たちは
海底の一部となっては貝に食べられ
そのまま貝の中で生きていく
貝はやがて死に
捕食されることなく陸地へと
それを集めた子供と子供
そんな貯蔵庫の中の記憶