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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 身代わりの愛」 最終話

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仲が良かったうののさららはこの事態を悲しみ、以後父の中大兄に対して敵意を感じるように変わる。
この時を以てしても中大兄は即位しなかった。母親の皇極上皇を再び皇位に就け斉明天皇とし、自らは白村江(はくすきのえ=朝鮮半島にある河口で唐・新羅軍と倭国軍が戦った場所)の戦いのために九州へ下向し、斉明天皇がかの地で崩御すると飛鳥へ引き返して、やっと即位した。

その後のことは有間皇子の無念を晴らすように、そして孝徳天皇が間人に化けたほのかに言い放ったように、壬申(じんしん)の乱へと進んで行く。
間人の死を知ったほのかは天を仰いだ。
そして、中大兄が天智(てんじ)天皇に即位して、大津に遷都したことを知った。

何か不穏な空気が流れていることを悟ったほのかは、女一人の身で伊勢から大津へと出向いた。体調を崩していた天智と鎌足に頼んで会わせてもらい、傍に仕えた。

「私がおります。ご安心なされませ。間人さまのことはほのかも悲しゅうございます。せめてこの私にお傍で看病させてくださいませ」

「ほのかか・・・世話かけるな。本当のところもう私は長くない。すまぬが鎌足を呼んできてもらえぬか」

「かしこまってございます」

鎌足は天智の顔を見てこれはヤバいと感じた。

「鎌足、そちに名前を進ぜよう。長年の礼だ、遠慮するな。これから以後藤原と名乗れ」

「藤原鎌足・・・ありがたき幸せでございます。末代まで天皇家のために命を投げ出す覚悟で仕えまする」

「鎌足・・・息子の大友を頼む、大海人にもよしなに伝えてくれ」

天智天皇は崩御した。
大友皇子が即位して弘文天皇となる。しかし、不穏な動きがあった大津宮から、鎌足は出家して自宅に閉じこもり自分の長男である藤原不比等(ふひと=史とも書く)を大海人皇子に添わせた。

弘文天皇をとりまく天智派の武将たちは、今こそ大海人の勢力を削ぎ、盤石にするべしと立ち上がったことを受けて、大海人皇子は吉野へ数名の従者と妃のうののさららを連れて旅立って行く。

大友皇子は人望こそ厚かったが、武将としては温厚で大海人が謀反に出るという側近の進言を受け入れなかった。このことが災いし、大津宮は吉野から討って出た大海人の軍勢に落とされ、壬申の乱に勝利した大海人は天武天皇として唐を真似た広大な都を飛鳥に開いた。

再び悲しみに落とされたほのかは伊勢に戻り、誰に看取られることもなく孤独に生涯を終えた。