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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 身代わりの愛」 第二話

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中大兄はこれほど間人にそっくりな女性をまさかという疑いの目で見つめていた。

「そちは私に仕えておると申すのか?」

「さようでございます」

「では、間人のことも存じおるのか?」

「皇子様、同じ女として悲しゅうございます」

「なんと!悲しいというのか・・・そちはどちらの豪族の娘じゃ?」

「私は、今は身寄りがございませぬ。流行り病にてわたくし以外の親族は亡くなってございます」

「さようだったのか、残念であったな。これからも余を支えてくれるよう頼むぞ」

「もったいないお言葉。嬉しゅう存じます」

中大兄は帰ってこのことを鎌足に話した。
このときはこの話はそのようなことがあったのか、ということで終わってしまっていた。
乙巳の変があった年に年号が初めて制定された。

そしてその大化元年九月四日、宮中で薬草狩りから戻って来た中大兄にヒソヒソ話をする人物がいた。

「皇子、やはり古人(ふるひと=古人大兄皇子=蘇我入鹿の従兄弟で反中大兄)が謀反を起こしましたぞ。ご注意なされませ」

鎌足は小声でそう話した。

「なんと、まさか叔父上が指図してこのわたしを亡きものにしようと考えておると言うのか?」

「さて、それは解りませぬが、既に古人の屋敷に兵を差し向けておりますので、間もなく捕らえられることでしょう」

「そうか、そちは頼もしいのう。鞍作を討った恨みがまだくすぶっているということの表れだな。それはそうと間人はどうしておるのか心配に思う」

「ご安心なされませ。間人さまは天皇にとっては大切な方ゆえ、安全な場所にお隠れになっておられると思われます」

「さようか、それなら良いが・・・」

「皇子、なにか鎌足に手助けが出来ることがあれば何なりとお申し付けなされませ」

「間人に逢いたい」

「なんと・・・皇后ですぞ!」

「妹でもあるぞ」