狗賓の落書(二百文字SS集)
ツンデレばれんたいん
大枚はたいて買った高級チョコを、美香は水たまりへ放り込んでスニーカーで踏んづけた。そして大切そうに拾いあげると、幼なじみの祐真くんを待ち伏せしてそっと手渡した。
「これ水に落として踏んづけちゃったから、あんたにあげるわ」
「え……」
おそるおそる祐真くんが受け取ると、彼女は赤い顔をしてそそくさと立ち去った。
「食えんのかよ、これ……」
思いきって一粒だけ口のなかへ放り込む。ドロの味がしてちょっぴり苦かった。
作品名:狗賓の落書(二百文字SS集) 作家名:Joe le 卓司