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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 幽体離脱」 第二話

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そして一時間が過ぎた。由里奈は自分の席で体の中からおれが出て行ったことを確認できたのか、ホッとした表情になっていた。
遅刻して席に戻って来たおれを由里奈は変な顔で見ていた。

「修平くん、遅刻よ。珍しいわねどうしたの?」

「いや、休憩室で寝ちゃって・・・」

「課長に怒られなくて良かったわ。昨日夜更かしでもしたの?」

「そういうわけではないんだけど、なんだかこの頃疲れるんだよ」

「ふ~ん、彼女と過ぎるんじゃないの?ハハハ~」

何を言ってやがるんだ!と先ほどの泣き言を知っているおれは怒れた。
あまりかかわると疑われると感じて、おれは仕事に集中した。
この日は母親と外食する約束をしていたので、都内の待ち合わせしていたレストランへ向かっていた。

仕事帰りなのか少し派手な服装をしていた母親が遅れてやって来た。

「修平、ごめんね。お客さんが帰らなくて焦ったよ。さあ中に入ろう」

「母さん、仕事はいつもそんな恰好しているの?」

「そういうわけじゃないけど、商談がある日はこんな格好が多いけど、それが何か?」

「別に、聞いただけ」

「変なの」

正直今日の母は綺麗だと感じた。喜ぶべき母親の容姿が不幸を呼ぶ・・・

レストランからの帰り道、その事件は起こった。通りすがりと思われる二人連れの男性に声を掛けられた。

「お嬢さん?そっちの彼よりおれと仲良くしようぜ」

おれはビックリする母の前に立って、

「何を言っているんだ。おれの母親だぞ」

「はあ?お前の母親?どれどれ確かめてやろう」

近づいて体に触れようとしたのでおれはとっさにその手を振り払った。
もう一人の大柄な男に腹を殴られ、腰をかがめたところを蹴り上げられた。そしてその場で気を失った。

「修平!」

と叫ぶ母の声がだんだん遠くなってゆく。

「だらしないやつだ。さあ、おれたちと良いことしようぜ」

「やめてください!大声出しますよ」

「大声出すってそんな暇あるか」

そう叫んで膝蹴りをされて母親は声が出せなくなっていた。
眠らなくても気を失った時点でおれは幽体離脱を始めた。
母親がうずくまっている様子を見て、何とかしなければと気持ちが焦った。