「サスペンス劇場 幽体離脱」 第二話
酷く疲れていた私は不注意にも仕事中の昼休みに休憩室で寝てしまった。
当然のように幽体離脱した自分がそこにいた。
まずい、一時間もこのままだと仕事開始に遅れてしまう。しかし、どうにもならない。
ちょっと職場を見てこようと扉を開け出ようとしたドアノブに手を掛けたが握れない。自分の手がすり抜けてしまうのだ。
何ということだ、だとしたらこの扉もすり抜けられるのか?
恐る恐る近づき体をぶつけると、扉の向こう側へ出た。歩いている仲間にぶつからないように自分の席に近づこうとした瞬間、コピー機の前から慌てて出てきた女子社員の由里奈にぶつかった。
当然すり抜けると思ったが、自分の意識が由里奈の中で彼女の意識と重なり合っていた。
「あなたは誰?」
心の中で由里奈が叫んだ。
おれは答えなかった。まずいと感じたからだ。
暫くして自分の意志で由里奈の身体を動かすことが出来るようになり、話すことも出来るようになった。まるで乗り移ったようにだ。
「ねえ、どういうこと?これはどういうこと?」
由里奈は叫び続ける。
課長の声がする。
「おい、休憩前に頼んでおいたコピーはどうした?」
「今すぐに持ってゆきます」
それはとっさに口にした修平の言葉だった。
確かめたいことがあったので女子更衣室に入った。
由里奈は心の中で叫び続ける。
「教えて、あなたは誰?何をしようとしているの?こんなことイヤ」
そう言うと泣き出した。
初めてその言葉に返事した。
「心配するな。すぐに出て行く」
「今すぐに出て行って!お願いだから」
「出れないんだよ。時間が経ったら自然に消滅するからそれまでは何もしないのでこのままにして欲しい」
確かにドアーをすり抜けたときのように自分の身体を動かそうとすると由里奈として動いてしまう。
自分の幽体が由里奈の身体を動かしているのだ。そして由里奈が感じる感触が自分の感触として伝わってくる。手で胸を触るとそこには自分にはなかったふくらみが感じられた。
「どうしてそんなところを触るの?あなたって男?もしかして。絶対にやめてよね変なことするのは!」
「頼むから怒らないでくれ。おれが好きでこうした訳じゃないんだから。自分でも解らないことなんだよ」
「お願いだから、おとなしく昼ご飯食べて仕事に戻して欲しい」
「わかったよ」
当然のように幽体離脱した自分がそこにいた。
まずい、一時間もこのままだと仕事開始に遅れてしまう。しかし、どうにもならない。
ちょっと職場を見てこようと扉を開け出ようとしたドアノブに手を掛けたが握れない。自分の手がすり抜けてしまうのだ。
何ということだ、だとしたらこの扉もすり抜けられるのか?
恐る恐る近づき体をぶつけると、扉の向こう側へ出た。歩いている仲間にぶつからないように自分の席に近づこうとした瞬間、コピー機の前から慌てて出てきた女子社員の由里奈にぶつかった。
当然すり抜けると思ったが、自分の意識が由里奈の中で彼女の意識と重なり合っていた。
「あなたは誰?」
心の中で由里奈が叫んだ。
おれは答えなかった。まずいと感じたからだ。
暫くして自分の意志で由里奈の身体を動かすことが出来るようになり、話すことも出来るようになった。まるで乗り移ったようにだ。
「ねえ、どういうこと?これはどういうこと?」
由里奈は叫び続ける。
課長の声がする。
「おい、休憩前に頼んでおいたコピーはどうした?」
「今すぐに持ってゆきます」
それはとっさに口にした修平の言葉だった。
確かめたいことがあったので女子更衣室に入った。
由里奈は心の中で叫び続ける。
「教えて、あなたは誰?何をしようとしているの?こんなことイヤ」
そう言うと泣き出した。
初めてその言葉に返事した。
「心配するな。すぐに出て行く」
「今すぐに出て行って!お願いだから」
「出れないんだよ。時間が経ったら自然に消滅するからそれまでは何もしないのでこのままにして欲しい」
確かにドアーをすり抜けたときのように自分の身体を動かそうとすると由里奈として動いてしまう。
自分の幽体が由里奈の身体を動かしているのだ。そして由里奈が感じる感触が自分の感触として伝わってくる。手で胸を触るとそこには自分にはなかったふくらみが感じられた。
「どうしてそんなところを触るの?あなたって男?もしかして。絶対にやめてよね変なことするのは!」
「頼むから怒らないでくれ。おれが好きでこうした訳じゃないんだから。自分でも解らないことなんだよ」
「お願いだから、おとなしく昼ご飯食べて仕事に戻して欲しい」
「わかったよ」
作品名:「サスペンス劇場 幽体離脱」 第二話 作家名:てっしゅう