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臆病なシンデレラ~アラサー女子。私の彼氏は17歳~

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 静かに雪が降り積もる聖夜の町に、祐の愉しげな笑い声が弾けた。
 星は見えなくなったけれど、早苗の心には彼と見た美しいイブの空も、彼が秘密の場所だと連れていってくれた高台から見た夜景もしっかりと刻まれている。
 これから、二人して、もっともっとたくさんの美しいものを見て二人だけの刻を紡ぎ想い出を作ってゆくのだろう。
 時には辛いこと苦しいことも試練として与えられるだろうけれど、祐とならきっと乗り越えていける。
 祐が優しい眼で早苗を見つめる。
 彼の眼にはもう孤独な翳りはなく、明るい温かな光を点している。
 いつか彼の秘密の場所で見た、あちこちで輝いていた灯火のように。


―そして、神さまが聖夜(イブ)の夜に最高の贈り物を与えてくれることを、そのときの私たちはまだ知らなかった。
 その夜、私の胎内に天使が舞い降りた。
 私たちが確かに芽生えた新しい生命の存在を知るのは、もう少し先のことになる。―


 物語のヒロインは、最初から幸せになると決まっていたわけではない。彼女たちなりに日々、厳しい状況の中で闘い、それでも挫けず前向きに生きて最後に幸せを?んだのだ。
 誰もが人生という自分だけの物語の主人公であり、壮大な物語を長い年月をかけて作り上げてゆく。
 人の数だけ物語の数はある。その結末をハッピーエンドにするかどうかは、主人公である自分次第なのだと、私は彼に教えられた。
 幸せを掴むには、どれだけ不安でも時には覚悟と勇気をもって一歩前に踏み出さねばならないときもあるのだ。勇気と覚悟をもってすれば、道は開かれる。
 あなたは、まだ何も書かれていない人生という真っ白な紙に何を書き、どんな物語の主人公になりますか?
 願わくば、貴女だけの物語が輝く光に満ちあふれた幸せなものとなりますように。
 
(了)





 
 あとがき

 こんにちは。
 今回はディズニープリンセスの物語を取り入れた現代物第二弾です。
 つい最近、私は結構辛い選択をしました。ずっと思い悩んできたことでしたが、なかなか踏み切れずにいました。
 ですが、勇気を出して決断して、今、心が少し軽くなりました。けして良いことではありませんでしたが、人間というのは時に辛くても決断しなければならないときもあるものですね。
 もっとも、この物語のヒロインのように時めく恋愛があるわけでも、人生をひっくりかえすような出来事があったわけではありません。それでも、私にとっては長年、悩み迷い続けたきた問題へ一つの結論を出したわけです。
 いかがでしたでしょうか?
 何しろ一年ぶりの現代ものですので、不安も多々ありますし、問題もあると思いますが、少しでも何かを感じていただければ嬉しいです。
 この作品を描いていて、改めて気づきました。プリンセスたちは何も最初から幸せになると決められていたわけではないのですね。
 彼女たちは自分なりに努力して試練を克服して、最後にハッピーエンドを勝ち取ったわけです。その大切なことを私も忘れないでいたいと思います。
 それでは、今回もありがとうございました。
   東 めぐみ拝
二〇一七年十月十十四日

〜この物語を読んで下さった皆様へ〜

 忘れもしない去年の十二月一日、この作品を小説サイトにアップしました。当初は、一人でも読んでくれる人がいればくらいの気持ちであったのですが、予想外に、たくさんの方に読んで頂くことができました。
 この作品は、私にたくさんの勇気を与えてくれた記念すべきものになりました。まず一つは、目先(閲覧数だとか順位だとかの数字)のことに拘らず、小説を書いて発表して読んで貰うという本来の純粋な「書く楽しさ」を思い出させてくれたこと。
 それから次に、もう二度と参加しない、できないと思い込んでいた小説サイトのコンクールに参加する勇気を与えてくれたこと。
 皆さん、コンクールにたかだか参加するだけなんて、誰でもできると思われるかもしれません。しかし、私は過去、何度か参加して、審査結果を公開発表するというコンクールのあり方についてゆけず、そのサイトに居るのが辛くて堪らなくなってしまったのです。結果、中途退会も同然に止めてしまいました。
 以降、二度とコンクールには出せないと自分では思っていたのに、この作品でもう一度参加してみようかという気持ちになりました。
 以前は、「参加するからには、何らかの結果を出さないといけない」という強迫観念のようなものに取り付かれていた自分に気づいたのです。
 今は、「一生懸命書いた作品があり、その作品をコンクールに出してみること」そのものに意味があるのだと素直に思えるようになりました。
 そういう考え方ができるようになったのも、サイトを離れていた一年余りの期間と、この作品のお陰ではないかと思うのです。
 「シンデレラ」実写版のポスターには「本当の魔法は、あなたの勇気」とあります。本当に、そのとおりですね。
 小説をサイトにあげたことも、この作品でコンクールに参加したことも、すべては勇気を出せたことから始まったことです。
ただ参加するだけ、その簡単なことが過去の体験がトラウマとなり、私はなかなかできませんでした。そういう貴重な勇気をくれたこの作品を是非、書籍の形に纏めたいと思い、コンクールに参加した記念に一冊にしました。
 「結果」よりも大切なことがある―、そのことに遅まきながら気づけた自分は幸せであったと思います。      東 めぐみ拝

二〇一八年一月吉日